不動産経営は「コスト削減」が超重要!収益を確保しよう!
不動産経営を行うにあたって誰しも考える事は、「どうすれば収益を確保できるか」「いかに空き室を埋められるか」といったところではないでしょうか。
これは、賃貸物件を所有した方にとっては永遠の課題とも言えることかもしれません。
昨今では、「サラリーマン大家さん」なんて呼ばれる方も増え、昔と比べると不動産経営も随分とポピュラーな投資手段となりましたが、その目的が投資であろうが節税目的であろうが、それが「経営」であることを忘れて収支をないがしろにしてしまうと単なる負債になってしまう恐れがあります。
そこで今回は、不動産経営を行う上でどのくらいのコストがかかるのかといったことから、コスト削減を行う具体的な手段をご紹介させていただきます。
不動産経営で必要なコストとは?
まずここでは、分かりやすくご説明させていただくために、以下のようなケースを想定してご説明をさせていただきます。
・物件価格は土地50坪3000万円、建物(6部屋)2000万円であった
・物件の取得には全額ローンを組んだ
・不動産経営を始めて5年目
・共有部の光熱費は共益費で賄えているため計算に入れない
・1部屋の家賃は7万円、年間で約500万円の収入
こういった条件の場合で考えると、毎年かかる費用には以下のようなものが必要となります。
仲介手数料(貸主負担の場合):家賃1か月分(7万円)
広告料:家賃1か月分(7万円)
固定資産税:1.4%(仮にここでは土地3000万円として42万、建物の価値を1000万円として計算して14万円)
所得税:20%(100万円)
住民税:10%(50万円)
消防点検:12万円前後(1部屋1万円×年2回とする)
合計:約230万円
500万円の収入があっても、年間の費用だけで既に収入の半分は上記の費用で消えてしまう事になります。
ただ、不動産経営は毎月かかる費用もあり、それが以下のようなものです。
修繕積立金:5%(3500円×6部屋=2.1万円)
ローン(金利3%とする):21万円程度
管理手数料:5%(3500円×6部屋=2.1万円)
合計:約25万円(年間300万円)
毎月の費用を見ても、やはり収入の半分は費用として消えてしまう事になります。
お気づきの方も多いかと思いますが、年間でかかる費用と毎月かかる費用を合計すると530万円ほどになりますから、年間の収支がマイナスになっています。
これはかなりザックリした計算ではありますが、相場から大きく離れた費用で計算しているわけではありません。
仮に細かく計算して調整を行ったとしても、数十万円程度の違いは出るかもしれませんし、場合によっては更に費用が嵩む可能性もあります。
どちらにしても、これらの費用が実際に存在するものである以上、収支が大きくプラス転換する数字のマジックのようなことを行うのは難しいことでしょう。
不動産経営においてもコスト必要不可欠なのは、会社を経営するのと同じだという事がお分かりいただけるかと思いますが、他にも共有スペースの蛍光灯が切れたですとか、他の設備の故障、清掃にかかる費用などもありますから、少なくとも上記の計算のままでは毎年赤字が続くのは間違いありません。
不動産経営のコスト削減術!
アパートやマンションを所有して経営を始められる方のほとんどが、所謂「不労所得」を目的としてのことかと思いますが、上記までの費用を見ていると、本当に不労所得となり得るのか疑問に思えてくるかと思います。
ただ、ここまでのお話では、あくまで「費用」という側面でしか見ていません。
つまり、不動産経営が会社経営と同じなのであれば、「コスト削減」を考えていく必要があるのです。
では一体、どのようなコスト削減が可能なのかを、年間を通した金額で見てみましょう。
経費計上で税金を抑える(所得税100万円、住民税50万円をまるっと削減)
既にご紹介させていただいた不動産経営に必要なコストのうち、所得税、住民税、ローンの元金部分について以外はほぼ全て経費として計上する事ができます。
つまり、数字的に「不動産収入は0円どころか赤字です」という風に申告する事も可能です。
実際にかかった費用で仮に赤字にならなかったとしても、減価償却という建物の価値が年々下がっていく事を経費とできるありがたい制度があります。
木造であれば購入価格に0.05を乗じた金額、軽量鉄骨なら0.053といったように償却率が決まっていますので、今回のお話のケースで計算するなら「2000万円×0.053=106万円」を経費とすることができます。
難しい税金のお話はここまでにするとしても、赤字になっているという事であれば上記にご説明させていただいた所得税や住民税を浮かす事ができますし、サラリーマン大家さんであれば確定申告で赤字を申告すれば収めた税金から還付を受ける事ができます。
ただし、住民税には還付という概念はなく、来年納付する住民税が安くできるという考え方になりますので注意しましょう。
ローンの借り換えを検討する(月2.5万円、年間30万円の削減!)
収益物件を全額ローンで購入する方もあまりいらっしゃらないかもしれません。
とはいえ、利率が変わると毎月の返済額も大きく変わります。
上記のコスト一覧では金利3%計算で毎月の返済額を算出しておりますが、仮にこれが2%に落とせたなら毎月2.5万円、年間で何と18.5万円も節約することができます。
賃貸物件の供給過多と言われる昨今では、借り換えを積極的に推奨する金融機関もありますので、毎月の支払がキツイという方は是が非でも検討された方が良いでしょう。
自分で入居者を探す(家賃1~2か月分の削減!)
上記のコスト一覧の中で「仲介手数料」「広告料」といったものがありますが、空き室を埋めていくには仲介業者や管理会社に支払う費用としては必要な物になります。
ただし、これらは「入居者を見つけてもらった」場合に発生するものですから、つまりは自身で入居者を探し出す事ができればその分がまるまる浮くことになります。
事実、管理会社や仲介業者の業務とは別に、不動産オーナー様が個人で「入居者紹介で1万円プレゼント!」といったチラシを各戸の入居者に配布したり、自身のホームページなどで募集するといった工夫で空き室を埋めている方もいらっしゃいます。
管理会社を選び直す(月8400円、年間10万円の削減!)
管理会社との契約において、管理手数料を節約する事でも大きくコスト削減ができる場合があります。
一般的な相場としては、最安値で3%、最高値で8%となっており、管理手数料が高い分はやはり手厚いサポートがありますが、人によっては「過剰サービスだ」と言われる方もいらっしゃいます。
自分ができないところだけ行ってもらうという前提で考えると、管理手数料を最安値まで落とせる可能性はあります。
ここでは、仮に5%の管理手数料を3%にできた場合として計算を行いましたが、全戸で毎月8400円の削減ができる事になります。
消防点検の費用は業者によって幅が大きい(6万円の削減!)
既に不動産経営を行われている方であればご存じかと思いますが、アパート経営などに置いては必ず「消防設備点検」が年に2回必要となります。
実はこの点検費用ですが、業者によって料金が驚くほど差があるのです。
上記のコスト一覧の例では1戸1万円と計算して、年間12万円としておりますが、仮にこれを半額の1戸5,000円にできたとすると、年間で6万円のコスト削減になります。
不動産経営のコスト削減の注意点
いかがでしょうか。
上記までに挙げたコスト削減の方法だけでも、あれだけ大きかった費用を40~50%ほどは削減する事が出来ます。
特に税金に関する部分のコスト削減が大きく影響していますが、他にも工夫次第ではもっと削減できる部分は出てくるでしょう。
ただ、絶対に避けるべきコスト削減の方法があります。
ローンを早く返したいからといって積立分や脱税行為などは絶対ダメ
ローンさえ完済してしまえば、その分がまるまる収益に繋がりますから、早めに返したいお気持ちは十分に分かります。
しかしながら、嘘の経費を計上したり、本来積み立てておくべきものを返済に回してしまったりすると、後々のトラブルに繋がり、最悪の場合は物件を手放さなければいけなくなる可能性すら考えられます。
特に脱税と判断されてしまうと、非常に重いペナルティが待っていますので絶対に避けるべき行為だと言えるでしょう。
「コスト削減」と「ケチ」を履き違えると物件の魅力が大幅ダウン
「修繕積立金があるから、いざという時だけ費用を負担すればいいかな」なんて思われるお気持ちもよく分かります。
実際、修繕や清掃をせずとも、ある程度住み続けることは可能です。
しかしながら、清掃を行わなければ見た目からして入居者は敬遠するでしょうし、入居者ですら不信感を抱いてしまって新たな空き室を生む結果にも繋がるでしょう。
また、修繕費やリフォーム代を負担するのをためらっていると、空き室がなかなか埋まらないなんてことにもなりかねません。
物件の魅力や安全の維持にはコストは必要不可欠なものでもありますので、コストを極端に悪しきものとして邪険にするのではなく、コストを安くしながら本来の物件の魅力を維持、若しくは高めていくことに注力することが正解と呼べるのではないでしょうか。
不動産経営のコスト削減とは
ここまで、不動産経営におけるコスト削減についてお話しさせていただきました。
世間では「ミニマリスト」「シンプリスト」といった、物を持たない、派手なものはいらないといった志向の方が増えていると耳にします。
これらは生活における様々な費用を削減するというのは最良の方法と言えるかもしれません。
ただし、不動産経営は何も自分の考えや都合を入居者全員で共有、強制しようといったものではなく、収益を上げるために「住みたい」と思ってもらうことが大前提となります。
コスト削減は収益をアップさせるためには絶対に行うべきものです。
同時に、ユーザーのニーズに応えられる物件を目指すことも重要なことです。
この二律背反とも思える両者と、どう付き合って行くのかということが不動産オーナーとしての使命であり、不動産経営の醍醐味なのだと言えるかもしれません。