競売物件とは?メリットやデメリットを解説
不動産オーナー様にとって必ず考えなければいけないものの一つに、所有する物件の収支バランスがあります。
「どうやって収入を増やそうか」
「空き室をなんとか埋められないか」
「そもそも節税すれば収支が良くなるのでは?」
「もし滞納があったらローンはどうなるんだろう」
このように、安定した経営を行っていく上で様々な工夫をされているオーナー様も多いかと思います。
これまでにも「キャッシュフロー」というものについて何度かお話させていただいておりますが、キャッシュフローを改善していくコツとしては、いかに持ち出すお金を少なくするかが一つのポイントとなります。
関連記事:キャッシュフローとは?わかりやすく解説「はじめての賃貸経営」
そのような賃貸経営の事情がある中、世の不動産オーナー様が一度は検討されるものとして「競売物件」があります。
今回は、競売物件というものが一体どんなものなのかといったところを簡単にご説明させていただきたいと思います。
目次
競売物件とは
競売物件そのものの存在はご存知の方は多いかもしれませんが、その名のとおり「競売に掛けられている不動産」という程度の認識で、詳しいところをご存知ない方も多いかもしれません。
「競売にかけえられている不動産」という認識は間違いではありませんが、もう少し詳しくご説明させていただきます。
裁判所の決定によって売却されることが決まった物件
そもそも競売物件とは、元の所有者による売却ではなく、裁判所の決定によって売却されることが決まった物件の事になります。
例えば、物件の所有者がローンの支払いや税金の支払いができなくなると、抵当権者等により差し押さえられます。
その後、債務者は債権の行使ということで、裁判所を通して担保となっていた物件を売却する事になります。
この際、通常の不動産取引のように売買価格が設定されて買主を探すのではなく、裁判所が作成した調査報告書や評価書などを基に、実勢価格の半値ほどに価格が設定され、それに対して購入希望者が入札を行っていき、最終的に、最も入札額の大きい人がその物件を落札するという流れとなります。
至極簡単に言ってしまえば、物件のオークションと考えれば分かりやすいかと思いますが、一般的には非常に安い価格で物件を購入できる可能性があるということで、収益用物件を探される一部の方には人気があるのが競売物件なのです。
競売物件はどこで探すの?
さて、競売物件とはオークションのようなものとご説明させていただきましたが、一般的なオークションと明確に違うのは、「入札は1回のみ」ということです。
つまり、「この価格なら買ってもいいな」ということで入札すると、その金額を変更したり、再度入札し直すことはできません。
その為、自分の希望に合う競売物件を見つけたら、しっかり検討してから入札を行う必要があります。
しかしながら、そもそも競売物件はどこで知る事ができるのでしょうか。
街中を歩いていても、公売物件などの看板を見かける機会は合っても、「競売物件です」なんて看板を見かけることはありません。
競売物件の主な探し方は、「裁判所」「BIT」「918.jp」という3つが候補に挙げられます。
まず裁判所ですが、全国に裁判所がありますので、物件の所在地として希望するエリアを管轄する裁判所に訪れ、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」というものから情報を得る必要があります。
これらが一体何かというところを簡単にご説明させていただきます。
物件の所在などの基本情報や売却の条件などが書かれているもの。
物件明細書よりも更に詳しい物件の情報が記載されているもの。
建物内部の写真があったり、地積や債権関連についても確認できる。
周辺環境や競売となった経緯、その物件の状況などを記載し、それを根拠とした評価額を記載した書面。
これら3つの書類を一般的に「3点セット」と呼び、競売物件を取り扱う方々の中では上記として知られています。
競売物件では必ず確認すべき書類となりますので、競売物件を検討される方は覚えておきましょう。
そして、「BIT」「918.jp」というものですが、これらは競売物件の検索ができるインターネットサイトと考えていただければ差し支えありません。
BITに関しては、裁判所から委託を受けたNTTデータが運営しており、918.jpは一般社団法人不動産競売流通協会が運営しています。
どちらも同じような情報が掲載されていますが、918.jpは想定利回りや人気度などを掲載しており、一般の人でも取っ付きやすさという点ではお勧めかもしれません。
競売物件のメリットやデメリットは?
競売物件がどのようなものか、どうやって探すのかが理解できてくると、物件が格安で手に入るかもしれないということから、早速競売物件を探してみたくなるかと思います。
ただ、競売物件も新築や一般の中古住宅とは違いますので、注意する点も多くあります。
では、競売物件の主なメリットとデメリットを一覧で見てみましょう。
競売物件のメリット
ご説明するまでもないかもしれませんが、裁判所によって公的に売却されるものですので、個人や法人との取引の中でのトラブルや詐欺行為といった事に発展することがありません。
競売物件では価値があるか無いかに関係なく情報が公開されます。
つまり、「変形した土地でもいいから、駐車スペースとして購入したい!」なんて希望や、「ちょっとした空き地に自動販売機を置きたい」など、住居以外の用途として希望する場合は、競売物件を探してみると良いかもしれません。
競売物件は入札方式でもある事から、最初の売却基準価格が低く設定されます。
物件にもよりますが、最安値で市場価格の3割程度、高くても7割や8割程度の価格で購入できることが多くあります。
競売物件のデメリット
競売物件を購入するにあたってはローンを組むことができませんので最初の保証金や、実際の落札金額までを全て一括納付する必要があります。
一部では競売物件にローンを適用して購入したというケースもあるようですが、まだまだ稀なものと言えるでしょう。
物件を購入する際に建物があるのであれば是非とも室内をチェックしたいところかと思いますが、所有者の許可がない限りは建物内部を見る事はできません。
許可の取り方などについては別の機会にご説明させていただきますが、基本的には室内は見られないものと考えましょう。
物件の内覧ができないという事は、物件購入後に発覚した瑕疵や破損などが見つかっても、損害賠償などを請求する事ができません。
また、物件によっては「占有屋」と呼ばれる反社会的勢力にあたる人が居座っている事もあります。
競売物件まとめ
今回の記事では、まずは競売物件とは何かという事を分かりやすくご説明させていただくために至極簡単にご説明させていただきました。
本来であれば、もっと詳細な解説が必要な個所もありますが、まずは競売物件とは何か、どんなリスクがあるのかといったおおよそのところをご理解いただけばと幸いです。