持ち家と賃貸を比較!メリットとデメリットを紹介。
これまでに、住まいの話になった際に「持ち家と賃貸はどっちが良いか?」なんて話題になったことがあるかたもいらっしゃる事でしょう。
筆者の周りでは、大体の方が「持ち家は土地が残るから良い」という結論を出される方が多いのですが、皆さんの場合はいかがでしょうか。
さて、持ち家と賃貸の比較という話は、これまでに散々論議されてきた感がありますが、実際のところどちらが良いという明確な結論を出されている方は少ないかもしれません。
そこで今回、「もし30歳でマンションをローンで購入したら」という想定で、賃貸に住むのとどちらが良いのかという比較をしてみたいと思います。
目次
持ち家と賃貸を費用面で比較
持ち家と賃貸との比較をするとなると、その家の場所、世帯、生活スタイルなど様々な要因が絡みますので、一概にどちらが良いと判断できるものではありません。
つまりそれが、これまでの持ち家対賃貸の論議に決着が付かない理由と言えるでしょう。
ではまず、冒頭でお話させていただいた、30歳という年齢でローンを活用して区分所有のマンションを購入した場合と、生涯賃貸を住まいとしたときを、80歳までの費用面の差を考えてみたいと思います。
そこで、参考になるシミュレーションが「三井のリハウス」のサイトにて紹介されていますので、それを元にしてみましょう。
生涯賃貸の場合の費用
家賃・更新料:7662万円(30才から80才)
計:7725万円
※30才から80才まで居住。家賃125000円とした場合の想定です。
持ち家購入の場合の費用
ローン総返済額:約3710万円
管理費等:1281万円
固定資産税:500万円
計:5615万円
※物件価格2480万円、35年ローン(金利2.475%)、管理費等21350円とした場合の想定です。
三井のリハウスで紹介されているマンションを例にした比較は、一つの目安となるためご紹介させていただきましたが、結果として2000万円以上の差が出ています。
一見して「じゃあ持ち家の方が得だ」と思える結果ですが、上記の特記事項にもあるように、2480万円という比較的安めの物件であり、そもそもマンションも市監査値は目減りするもの。
更に、これがもし戸建て購入という事になれば固定資産税にも違いが出てくるでしょう。
逆に、賃貸の場合は地域によって家賃が安い物件もありますので、例えば10万円の物件に住むという事になれば、生涯で1500万円分が浮くことになります。
このように、持ち家か賃貸かという事を費用面で確認してみると、住む家によって大きな差が出る事もありますし、全くの同等になる場合もあるということが分かります。
むしろ賃貸の方が安くなる可能性すらありますので、費用面だけで結論を出すのは少々考え物かもしれません。
持ち家と賃貸をメリットとデメリットで比較
では、費用面で結論が出せないのであれば、持ち家と賃貸のメリットやデメリットを考えてみましょう。
まず持ち家の場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
持ち家のメリット
・持ち家と土地という資産が持てる。
・安定した住まいが確保できる。
・いざという時に家と土地を担保として活用できる。
・リフォームが自由。
・家を持ったという満足感が得られる。
持ち家のデメリット
・税金という逃れられない支払いがある。
・簡単にライフスタイルを変えられない。
・同様に簡単に住み替えができない。
・資産価値が減少するリスクがある。
・ローン金利の上昇によるリスク。
他にもメリットやデメリットはあるかもしれませんが、主に以上のようなことが挙げられます。
では続いて、賃貸の場合のメリットとデメリットを考えてみたいと思いますが、ほとんどが持ち家の場合の逆という見方で良いかもしれません。
賃貸のメリット
・支払いは家賃と更新費、火災保険のみ。
・住み替えがいつでも可能。
・家庭内の事情でのライフスタイルの変更が自由。
・近隣住民とのトラブルも引っ越しで解決可能。
・初期費用が持ち家を持つより安い。
賃貸のデメリット
・リフォームができない。
・建物や設備のクオリティが低い場合が多い。
・人に貸すなどの資産活用はできない。
・家賃や更新費は一生払わなければならない。
・建て替え等で退去を求められたら老後の安定した住まいとは必ずしも言えない。
これらの比較をまとめるならば、機動性の有無と資産として残せるか否かといったところかもしれません。
つまり、自分の生涯を考えた時に、資産を残すべきなのか、自由にライフスタイルを変えていける環境が良いのかといったところで考えてみるのも良いのではないでしょうか。
戸建てなら土地が残る。だけど…
費用面での比較と、それぞれの長所短所というところで持ち家と賃貸を比べてみました。
ここで多くの方の発想として発言されるものの中に「持ち家は家の価値が下がっても土地という資産が残る!」というものがあります。
確かに、先ほどの資金面での比較では、生涯でかかる費用で比較はしましたが、生涯で残る資産という面では比較をしていませんし、むしろ比較するまでもなく賃貸には何も残らず、持ち家には土地が残るのは明白です。
では、土地が残る事は良い事なのでしょうか。
そんなそもそも論を追求するつもりもありませんが、「土地が残る」ということはどう考えても悪い事ではありません。
しかしながら、仮に3000万円で新築を購入し、その半額が土地代だとしても、1500万円の資産が残るという計算はできないのも事実です。
土地の価格は変動する
土地の価格というのは、その土地がある環境や需要、その他経済情勢による相場観で決まるものですから、1500万円の土地が1500万円という価値のまま残っているとは限りません。
当然、土地の価格は上がりもすれば下がりもするでしょう。
日本の経済がバブル期の頃のように活気付けば土地の価格は上昇するかもしれませんが、現在の不動産市場はどのような状況かというと、土地価格が下がりそうな要因の方が多い状況にあると言えます。
例えば、「少子高齢化や人口減少」といった問題は、長期スパンでの不動産価格の下落要因として見られているのは有名なところです。
直近のものですと、別の記事でもご紹介させていただいている生産緑地の解放、オリンピック需要が終わった後の不動産バブル崩壊懸念といったものもあります。
仮に1500万円という土地の価値がそのままだったとしても、賃貸を選んだ人でも50年という期間で十分にカバーできる範囲の金額です。
そう考えると、揺るぎない信念を持って「土地が残る!」と言っても、それが果たして持ち家と賃貸という比較の中で絶対的な差となるかというと、少々疑問が残るところです。
持ち家と賃貸を比較まとめ
先の内容の中でもお話させていただきましたが、「持ち家VS賃貸」という話はこれまでに多く議論されてきましたが、結局「どっち」という結論を明言している人はいません。
それは上記までにお話させていただいたような、賃貸という自由と持ち家という資産価値のどちらを選ぶかという事が重要であり、長期スパンで見た時にそこまで大きな差が出ないという事も結論が出しにくい点であるとも言えるでしょう。
大事なのは世間的にステータスであると見られがちな「家を買う!」ではなく、時代の変化に対応できるかどうか、生涯設計の中でどちらの方が自分に合った住まいとなるのかという事なのかもしれません。