2017.08.21

意外と身近な賃貸トラブル事例集~原状回復編~

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今回の賃貸物件に関わるトラブルは、「原状回復」についてです。
原状回復に関するトラブルについては、これまでにも関連性のあるテーマにてお話させていただきましたが、今回はより具体的な事例をご紹介させていただきたいと思います。

原状回復に関わるトラブル一覧

原状回復に関するトラブルは、ここでは書ききれないほどの多くの事例があります。
ここでは、「不動産適正取引推進機構REITO」より、実際にあった判例の一部をご紹介させていただきます。

畳や襖、クロスの張替え、ドアのペンキを勝手に塗り替えるなどをしたことによる修繕費を、賃貸人と賃借人のどちらの負担とすべきか争われた。
契約書には畳の表替えの費用を賃借人が負担すると書いてあるにも関わらず、壁紙の交換費用まで請求された事例。
契約書には比較的細かく修繕費は賃借人負担とは記載されているものの、「賃借人の故意過失による汚損、破損等があった場合、また、退去後の清掃や付加された設備の撤去といった費用は、敷金から払うものとする」といった程度の記載であるため、実際に請求された修繕費用が敷金全てを償却するに値するのかといったことが争点となった事例。
敷金が返還されない事に対して賃借人による本訴が提起されたが、賃貸人はそれに対し「特約があり敷金返還には応じない。また、室内にカビが発生しており、その損害が発生している。」と逆に反訴した事例。
同じく、敷金返還に関しての事例。賃借人による物件の明け渡しが行われた際に敷金の返還がされなかったとして裁判が行われましたが、対する賃貸人は、「地域の慣習にて敷金を返還しない事が当然に行われており、何年も契約してから消費者契約法を主張して敷金返還を求めるのは権利の乱用に当たるのではないか」ということで争われた。
戸建て住宅の賃貸物件に関して、庭の草むしりや門被りにある松の木の選定を行わなかったこと、また、解約時に松の木が枯れていたことから、庭の修繕費用を求めて争われた事例。

 

参考:不動産適正取引推進機構REITO

【関連記事】民法改正「修繕と原状回復、家賃減額」編 賃貸経営にどんな影響が?

原状回復の裁判の具体的内容

原状回復については、これまでに数多くの裁判が行われていますが、その全てをここでご紹介させていただくにはスペースの問題があります。
とはいえ、またの機会に原状回復については改めて解説させていただくものとして、ここでは、上記の判例一覧から少々珍しい判例についてご紹介させていただきたいと思います。

戸建ての賃貸住宅の敷金返還請求事例

「庭の植栽の手入れをしていなかったとして敷金を返還するかどうかが争われたケース」

このケースでは、戸建ての賃貸住宅の敷金返還請求について争われた事例です。
賃貸経営は何もアパートやマンションだけではなく、戸建て物件もあるわけですが、今回のケースは以下のようなものです。

原告

賃貸人

被告

賃借人

賃料関係

賃料12万円。敷金、礼金共に1か月分

敷金返還請求事例の争点

問題となったのは賃貸契約を行った庭付きの戸建て物件の植栽の管理についてです。
賃貸契約を交わした際には賃貸人により庭の手入れが行われて健全な状態であったにも関わらず、解約時には庭は荒れ放題、松の木は枯れ、剪定が行われた様子もなく、庭の修繕費用で48万円を要するため、そこから敷金を引いた36万円を賃借人に対して請求したというもの。

よって、「賃借人が庭の植栽を手入れしなかったことは、善管注意義務違反にあたるか」という事が争点となりました。

敷金返還請求事例の事実関係

・賃貸契約の中には、建物に関する条項はあっても庭や敷地に関しての記載がほとんど見受けられない。
・不動産会社から賃借人に対して「庭の手入れをしてきれいに使うように」などの説明があったが、賃借人に植栽に関する知識がほとんどない。
・解約時には庭を元の状態にまでキレイにして明け渡すことに承諾した証拠はない。
・賃貸契約解約時に管理会社立会いのもと、物件の状態を確認し、原状回復費用は無しということで書面を取り交していた。
・松の木が枯れたことは害虫によるものと推測されるものの、原因は不明である。

裁判所の判断

本件は賃借人による善管注意義務違反があったかどうかが重要となりましたが、裁判所の判断は以下のようなもの。

・重要事項説明書には建物のみが記載されているが、戸建ての賃貸物件に関して、庭や敷地も物件の一つとして考えるのが合理的であるため、敷地内全体に対して善管注意義務を負うと判断するのが妥当。

・庭の植栽や剪定をしなかったことについては、それらの具体的な管理方法についての取り決めがなかったことや植栽の管理方法に関する知識を賃借人が持っていない事からすると、善管注意義務違反とは言い難い。

・松の木が枯れた原因は不明だが、突然そのようになったというものでもなく、徐々に松の木が枯れていく様子は普段から目にしていたはずであり、早めに報告をしていれば対処ができたと考えると松の木を枯らしてしまった事は善管注意義務違反と言える。

・庭の草むしりを行わなかったことは、入居前と退去後の状況を見ても、明らかに善管注意義務違反と言えるほど草が生い茂っている。

上記のような理由から、原告側の訴えが全面的に認められた形となりましたが、48万円の修繕費用から敷金12万円を差し引いた36万円を請求した理由そのものが明確ではないという事で、賃借人に敷金の半分である6万円の支払のみを命じました。

参考:東京<簡易裁判所判決 平成21年5月8日

判断の難しい原状回復。事前に確認と書面での

原状回復というと、不動産オーナー様には耳にタコのお話かもしれませんが、賃貸経営においてはそれほどに多くのトラブルの種となってきました。
原状回復の基本的な考え方として、以下のようなことがポイントになります。

原状回復の賃貸人負担

居住により発生した自然損耗、経年劣化

原状回復の賃借人負担

・賃借人の過失により生じた汚れや傷
・破損や汚れ、不具合を放置したことにより事態が悪化する善管注意義務違反

上記の違いを一つの判断基準として、後は自身が所有する物件に瑕疵がないかをしっかり把握しておくことが重要だと言えるでしょう。
本記事では、原状回復の考え方を詳しく解説させていただくというより、実際にあった事例や解決例のご紹介となりますが、予めトラブルを未然に防止するためには以下のようなことに気を付けると良いかもしれません。

・契約時の特約で賃貸人と賃借人の認識にズレがないかをお互いに確認する。
・退去時の汚れ、傷などが賃借人の過失である事を立証するために、入居前の物件内部の写真を撮っておく。
・入居時に傷や汚れなどを見つけたら、賃借人から予め書面や画像で申告してもらう。

契約時のお話として「特約」という言葉が多く登場しますが、これは「特約さえつければ修繕費を賃借人の全面負担にできる」という事ではありません。

事実、これまでの判例には「本件の特約は賃貸人有利なものであると考えると、消費者の利益を一方的に害すると判断できるため無効である(消費者契約法10条)」として、敷金の返還をするよう命じた判例もあります。

不動産オーナー様が事業者であるなら、賃借人は消費者であり、一般的な視点で見ると「お店とお客様」のように考える事も出来ます。
お互いの認識のズレによる不本意なトラブルが起きないよう、やはり事前の確認、そしていざという時は冷静な話し合いが必要であると言えるでしょう。

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