賃貸ユーザーには嬉しいポイント制度は導入すべき?
皆さんが日ごろから利用されているお店のポイントカードや、決済手段として提示するクレジットカードに付与されるポイントですが、「ポイント還元をした分、お店は負担が大きくなるのでは?」なんて思った事はありませんでしょうか。
また、毎月請求している家賃にポイント制度を取り入れたら、入居率アップに繋がるかもしれないなんて考えたことはありませんでしょうか。
何かを購入、若しくは支払いをしてポイントが付くなんて、今や当たり前のことに感じますが、一部ではヨドバシカメラのポイントカードが日本初であり、さほど歴史は古くはないというお話もあったりもします。
買い物が高額になればなるほど、付与されるポイントも大きくなりますから、気付いたら豪華な賞品と交換したり、キャッシュバックしてお小遣いとして利用した経験のある方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて今回は、不動産業界の中でも耳にすることが多くなった、家賃の支払いに対するポイント制度について解説させていただきます。
目次
積極的に導入されてこなかった理由
今回の記事を執筆するにあたり、実は気になるこんなニュースを見かけました。
「家賃カード払い広がる アプラスなど、ポイント活用」
アパートやマンションの家賃に「共通ポイント」を解禁する動きが広がってきた。新生銀行系のアプラスフィナンシャルはレオパレス21とTポイントがたまる提携カードを10月にも発行する。家賃をクレジットカードで支払うと、毎月ポイントがたまる仕組み。採算悪化を懸念した不動産会社が慎重だったが、過剰供給や競争激化に押されて方針を転換した。
引用:日本経済新聞 電子版「家賃カード払い広がる アプラスなど、ポイント活用」
つまり、レオパレスの部屋を借りた家賃を、アプラスが発行するクレジットカードで支払うとポイントが貯まるサービスが始まったということなのですが、ご紹介のニュースにもあるように、これまで不動産業界ではポイント制度について導入をためらってきた経緯があります。
そもそも日本特有の文化とも言えるポイント制度ですが、還元するポイントを負担するのは、物やサービスを提供するお店側となります。
つまり、不動産業界で言うのであれば、不動産会社や大家さんという事になります。
仮に家賃が10万円だったとして、ポイント還元率が200円で1ptだとしたら、月額「500円」を不動産会社や不動産オーナーが負担する事になります。
年間にすると6000円の負担という事なりますので、戸数が増えてくれば負担も大きくなるのです。
よって、毎月の家賃収入に対して毎月の負担額が増えるということもあり、不動産業界ではポイント制度が普及してきませんでした。
実は大手はもう導入しているポイント制度
とはいえ、不動産業界でのポイント制度の導入はここ数年で随分と広がっています。
主に、クレジットカード機能付きのポイントカードでの決済をすることを前提としているケースが多いのですが、有名不動産会社や有名ポイント制度を例に、いくつかご紹介させていただきます。
ピタットハウスの家賃deポイント
ピタットハウスの親会社であるスターツと、三井住友カードが提携して発行している「夢なびVISAカード」で家賃を支払うと、ポイントが貯まる制度。
ポイントは三井住友VISAカードのワールドポイントとして、1000円につき1pt(=3円)付与されます。
ワールドポイントをそのままキャッシュバックもできますし、ワールドポイントをスターツで提供している夢なびポイントへ交換してホテル・旅館の宿泊や、その他さまざまなサービスに利用する事もできます。
Tポイント付きアプラス家賃サービス
こちらは、現在お持ちのTポイントにそのまま家賃の決済で発生したTポイントを加算できるサービスです。
新生銀行のアプラスが家賃の立て替え払いを行い、その分を入居者の口座から引き落とすという仕組みであり、クレジットカードが必要ありません。
Tポイントサイトでは200円につき1ptの付与としておりますが、取扱店が限られていますので、詳しくはTポイントサイトにて確認されると良いでしょう。
参考:アプラス Tポイント総合ポータル「Tポイント付き アプラス家賃サービス」
UR賃貸住宅の家賃でPontaポイントがたまる!
意外なことに、独立行政法人である都市再生機構のUR賃貸でポイント制度が導入されています。
利用方法は非常に簡単にできており、UR賃貸を契約した後に送られてくるハガキに書かれた住戸キー(15桁の番号)と、Pontaカードに書かれた会員IDをWEB上で入力して申し込むのみです。
支払家賃500円に付き1pt貯まるものですので、長く住んでいたら気付いたらポイントが貯まっていたなんて事もありそうです。
家賃の滞納防止に役立つ!?
最近では、クレジットカードでの支払いをするとポイントが付くというところに目を付けたユーザーにより、家賃をクレジットカードで支払いできる不動産会社を推奨する記事などを見かけます。
確かに毎月の家賃数万円は、賃貸ユーザーにとって大きな出費ですから、少しでも得をしたいと思うのは自然な事です。
さてでは、不動産オーナー様にとって、ポイント制度を導入する事にメリットはあるのでしょうか。
「そりゃ、ポイントが付かないより、ちょっとでもポイントが付いた方が得だし…」
そんな風に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、毎月の数百円のお得と、さほど賃料の変わらない駅近で築浅のキレイな物件を比較した時に、賃貸ユーザーはどちらを選ぶでしょうか。
これがもし、圧倒的にポイント制度の方を選ぶ賃貸ユーザーが多いだろうという結論になれば迷わずポイント制度を導入できる不動産会社と連携すべきかもしれません。
しかし実際は、毎月数百円のお得と高クオリティの物件を比較した時の需要に、そこまで大きな差が出るというのは考えづらいところではないでしょうか。
不動産オーナーがポイント制度を導入するメリット
では、不動産オーナーがポイント制度を導入するメリットはないのでしょうか。
実は、考え方を変えると大きなメリットになることがあります。
先ほども申し上げましたが、もし家賃のクレジットカード払いができるようにしたとしたら、家賃はクレジットカード会社が支払ってくれることになりますので、家賃滞納のトラブルが大幅に減る事に期待できます。
もちろん、クレジットカードの契約者も、クレジットヒストリー、つまりカードの延滞という履歴は残したくないため支払いはきちんと行う事が予想されます。
この逆を考えてみましょう。
家賃を滞納したら、延滞という履歴がどこかに残るでしょうか。
管理会社や不動産オーナー様の帳簿上には履歴は残るかもしれませんが、賃貸ユーザーの私生活に影響を及ぼすほどのものではありません。
この「家賃の滞納は履歴が残らない」という事と、「カードの延滞は履歴が残る」という違いは家賃の滞納防止に大きく貢献してくれる可能性があるのです。
ポイント制度まとめ
近年は、何かサービスを利用する都度、「ポイント」という文字が目に付くようになりましたが、IT化が徐々に進んできた不動産業界ですから、ますますポイントを活用する不動産会社やオーナー様は増えるのではないかと言われています。
事実、最初にご紹介させていただいたニュースでも、「アパートの過剰供給による競争激化」を理由にレオパレスも方針を転換したとしていますが、場合によっては、ビットコインなどの仮想通貨での家賃支払いが可能になったりする日も、そう遠くないのかもしれません。
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不動産とはその名のとおり「動かざる資産」ですが、不動産オーナー様に至っては、時代の変化に柔軟に対応すべき時期が来たと言えるのではないでしょうか。