調査結果に見る賃貸ユーザーの物件探しの心理

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以前、「賃貸物件の魅力をアップさせる3つのポイント!」という記事にて、賃貸ユーザーがどのような物件をさがしているかという、所謂ニーズの把握が重要であるということをお話させていただきました。

その中で、最も賃貸ユーザーが重視するものとして「駅からの所要時間」という調査結果があるという事をお話しさせていただいたわけですが、そんな賃貸ユーザーのニーズを違う視点から見てみようというのが今回のテーマです。

2017年9月21日にリクルート住まいカンパニーが公表した、「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 (首都圏版)」で見られた意外な調査結果から、賃貸ユーザーのニーズについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

駅近物件も間取りには敵わない!?

冒頭でご紹介させていただいた、リクルート住まいカンパニーが公表している調査結果に「駅距離と内装、外装、住宅設備の優先順位」というものがあります。
つまり、「駅近」という条件と、建物そのものの個々の魅力とを比べた時に、どちらを優先するかという内容の調査です。

そもそもこれは、不動産オーナー様が室内の間取りや内装、その他設備などのうち、どの部分に費用をかけるべきかということを目的とした調査なのですが、駅近物件という絶対譲れないと言われることの多い条件よりも、間取りを始めとした建物の良さを重視している方が意外にも多いという、賃貸オーナー様にとっては嬉しい結果が出ているのです。

では、調査結果を見てみましょう。

駅近よりも建物の特徴を優先する割合

駅近よりも建物の特徴を優先する割合

間取り:優先する50%/優先しない32.1%/どちらとも言えない17.9%
設備がキレイ:優先する44.4%/優先しない36.0%/どちらとも言えない19.6%
内装がキレイ:優先する44.4%/優先しない38.8%/どちらとも言えない16.8%

参考:リクルート住まいカンパニー「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 (首都圏版)」

ここまでは、駅近よりも建物の良し悪しを優先するという結果です。
駅近ではない賃貸オーナー様にとっての間取りの良し悪しについて、どちらとも言えないという回答も合わせたとするなら約68%の人が駅までの距離よりも建物の間取りを見ているという、嬉しい調査結果と言えるかもしれません。

「それでも駅近が良い!」と言わせる建物の特徴

では、「それでも駅近を優先する」という結果となったものについても見てみましょう。

「建物の特徴よりも駅近を優先する割合」
駅近よりも建物の特徴を優先する割合

断熱や省エネ:優先しない65.1%/優先する21.9%/どちらとも言えない13.0%
遮音性:優先しない60.3%/優先する25.0%/どちらとも言えない14.7%
外装:優先しない53.9%/優先する28.7%/どちらとも言えない17.3%
耐震性:優先しない46.4%/優先する34.7%/どちらとも言えない19.0%

参考:リクルート住まいカンパニー「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 (首都圏版)」

こちらの調査結果も意外と言えば意外かもしれません。
不動産オーナー様にとっては、住人同士のトラブル防止のために防音、遮音のリフォームを行ったり、丈夫な物件を建てて震災被害にも強い安心して暮らせる住まいを提供しようと思っても、賃貸ユーザーから見ると、それよりも駅近を選ぶ傾向にあるようです。

ではなぜ、賃貸物件を選ぶ時に、トラブルや災害、省エネといった安心した住まいを確保できそうな物件よりも、内装設備、間取りといったものが優先されるのでしょうか。

しかも、駅近という絶対的にも思える条件を差し置いてです。
続いて、筆者の経験や不動産業界で使われる営業手法からその理由を推測してみたいと思います。

調査結果から推測できる賃貸ユーザーの心理

投資物件を探している方は別としても、賃貸、戸建て、マンションといった不動産選びの際に働く心理として「引越し後のイメージ」を持ってもらう事は、不動産営業にとっては非常に大事なことです。

いえ、不動産営業に関わらずですが、人に購買意欲を持ってもらうためには「イメージ」が重要だと言われています。

その物件に住んだ後のイメージをしてもらう

例えば、不動産営業のテクニックとして、「当て物件」という手法があります。

これは、内見で回る物件の順番として「当て物件」を最初に見に行き、その後も数件の当て物件やそれとない物件を見せた上で最後に良質な物件を見せる事で、一番最初にその物件を見せるよりも数段良い物件に見えるという心理を逆手にとった方法です。

そして、そのような手法の際には、「ここにベッドを置けば、朝の目覚めもいいでしょうね!」「このキッチン、多面式なので家族の様子を見ながら料理ができますね!」といった、その物件に住んだ後のイメージをしてもらうようにお話をすることで、契約の意思が固まるのです。

お分かりいただけますでしょうか。
物件探しを始めたころは、自分にとってどんな物件が良いのかという明確なイメージが固まっていない事が多く、とはいえ、数件の物件を見て回っているうちに見るポイントが定まってくるものです。

そして、内見が終盤に近付くにつれて「収納が少ない!」「キッチンからの動線が悪い!」「水回りが汚い!」といった、自分なりのこだわりが明確になりはじめ、最終的には引越し後にその部屋に住んでいるイメージを明確に想像するようになります。

そうなってくると、将来起きるかもしれない災害やトラブルといった可能性の低いことよりも、引越し後のリアルな生活シーンをイメージしますので、今回の調査結果のような見た目重視とも言える物件選びになるのではないかと考えられます。

賃貸ユーザーにとっての物件探しは一期一会

筆者の経験上、大きなお金の動く取引になる事が多い不動産業界では、お客様の意思が固まらずに何カ月、場合によっては契約を決めるまでに数年かかる事があります。

これは不動産売買においては珍しくない事です。

何故そんなにも長い期間、物件を探すようになってしまうかと言えば、物件を見すぎるあまり、その物件の悪いところにばかり目がいくようになり、いつの間にか粗探しをしているような状態になるためです。

別の記事でも紹介してますが、賃貸における物件の内見数はおおよそ3~5件だと言われています。

関連記事:賃貸ユーザーの心理を推察。入居募集に力を入れるべき時期や方法

よって、不動産とは同じものが2つとないものという事をお伝えしつつ、一期一会を大事にしてほしいという事をご理解いただき、よほどこだわりが強くない限りは、ある程度物件をご紹介したところで不動産の営業マンがお客様の背中を押してあげる事がしばしばあるのも事実です。

その中で「朝起床したら、ここでコーヒーでも飲んで、こっちで身支度を整えて、帰宅後はここのキッチンで軽く料理をして…」というようなイメージが湧かせることができれば、契約はグッと近づくでしょう。

今回ご紹介させていただいた調査結果では、「駅近よりも優先されるものがある」という少々意外な事実が浮き彫りになったわけですが、不動産オーナー様にとってこれは、「駅から遠い物件だから…」と思わずに、所有している物件にひと手間加える事で入居率の向上に繋がるかもしれないという結果でもあると言えるでしょう。

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