不動産投資物件の探し方とコツを解説「はじめての賃貸経営」
はじめての賃貸経営についてお話させていただく、シリーズ2回目の今回は「物件探し」についてです。
いざ賃貸経営を始めようと思ってから最も時間をかけて検討していく必要があるのが、この物件探しです。
前回の記事「賃貸経営のメリットとデメリットを解説」では、賃貸経営を始めるには目標を定める事が重要であると申し上げましたが、今度はその目標を達成してくれる物件を探しについて考えていきたいと思います。
収入がプラスとなるかマイナスとなるかという結果に大きく関わるのが、この「物件探し」ですので、しっかり自分の目で判断していく必要があります。
そこで今回は、賃貸経営を始めるにあたってどのような物件を選ぶべきか、そして物件の探し方のコツなどについてお話させていただきます。
賃貸する物件のタイプを検討する
そもそも賃貸経営を行うと言っても、購入する物件には様々なタイプがありますので、自分の目標やプランに沿って、場合によっては「身の丈に合わせて…」なんて理由で物件を探していく事になります。
個人のオーナー様であれば、収益物件として検討する物件種別は主に以下のようなものになるでしょう。
- ・アパート
- ・マンション(区分所有)
- ・マンション(1棟)
- ・戸建て
- ・店舗兼住宅物件
- ・倉庫、ガレージ
etc…
最近では、リノベーションが人気となっていますので、倉庫やガレージを改装してレンタルスペースとして貸し出したり、トランクルームを経営して収益を得る方もいらっしゃいます。
しかしながら、一般的な賃貸経営というと、人の流動性の中に密着しているアパートやマンションを購入して、継続的、且つ安定した家賃収入を得るということを考えるのが、初めての賃貸経営としてはスタンダードな考え方になります。
もし物件を購入するにあたっての資金的余裕があるのであれば、自分の趣味を兼ねて倉庫やガレージなどを購入して店舗物件としても良いでしょうし、まずはスタートとして区分所有のマンションを1部屋購入するのも良いでしょう。
賃貸経営の基本用語「利回り」を知る
さて、物件を購入して将来的にどのようになっていたいかという目標と、そのためにはどの物件種別が適しているかといったところで狙いが定まりましたら、今度は収益物件を選ぶ一つの目安となる「利回り」の基本について把握しておきましょう。
利回りという言葉は一度くらい耳にしたことがあるかと思いますが、不動産における利回りもほぼ考え方は同じです。
ただし、投信信託や株式投資などと明確に違う点は「表面利回り」と「実質利回り」という2つの利回りが存在する点です。
両者の違いを簡単に申し上げるなら「維持費を踏まえて考えた利回りであるかどうか」と言えます。
では、表面利回りと実質利回りの違いを知る前に、改めて利回りとは何かということをご説明させていただくとするなら、自分が物件に投じた金額に対する1年間の回収率だと考えましょう。
簡単な計算例を見てみましょう。
表面利回りの計算式
(年間家賃収入100万円 ÷ 物件購入価格1000万円)× 100 = 表面利回り10%
つまり、1年間で自分が物件を購入するときに費やした金額の1割を1年間の間に回収できるという事になります。
では、実質利回りはというと、これは維持費なども含めた1年間の家賃収入で計算をしていく必要があります。
こちらも簡単な計算例を見てみましょう。
実質利回りの計算式
(年間家賃収入100万円 - 維持費等50万円)= 実質年間収入50万円
(実質年間収入50万円 ÷ 物件価格1000万円)× 100 = 実質利回り5%
投資信託などにも実質利回りの考え方は存在しますが、賃貸経営ほど費用が大きくならないため、あまり実質利回りについて語られることはありません。
賃貸経営の場合、建物の管理維持や管理会社への手数料、空き室になった際のリスク、毎年かかる税金など様々な費用がありますので、それらを無視して表面利回りだけに注目して物件選びを行うと、最終的に毎月赤字経営の結果になりかねません。
利回りについてはまだまだお伝えしなければいけない事があるため、次回また詳細を解説させていただきたいと思います。
住む人の気持ちになって考える
さて、利回りについては先ほど申し上げましたとおり、掘り下げるとキリがありませんので、一旦ここでは、「物件のタイプも利回りも自分の希望に合うものが見つかった」という前提でお話を進めさせていただきたいと思います。
もし、物件価格が自分の手の届く範囲で、単身用マンションの表面利回り15%という高利回りの物件が見つかったとしたらどのように思うでしょうか。
もちろん、先ほども申し上げましたとおり、実質利回りについてはしっかり調査と検討を行わなければいけません。
しかしながら、もう一つ重要なこととして「物件の需要」についても見極めていく必要があります。
インターネットや不動産会社の広告には、利回り3%くらいから、時には50%を超える驚きの数字の物件が紹介されている事がありますが、これらは「想定利回り」といって、「入居者が決まったらこれだけの収入が得られますよ!」という前提の利回りになります。
つまり、「その物件を借りてくれる人がいるかどうか」「想定利回りどおりの家賃設定ができるかどうか」は全く考えられていない数字なのです。
もちろん、既に入居中の物件のオーナー変更という事で売りに出されている物件もありますので、それは物件概要を注意深く見ていく必要があるでしょう。
さて、ここまででお気づきかと思いますが、賃貸経営を始めるにあたっては、物件価格や利回りだけに注目するのではなく「物件の需要」もしっかり見極める必要があります。
賃貸アパートやマンションに住んだことのある方なら、以下のようなことをポイントとして物件探しをされたという方も多いのではないでしょうか。
- ・家賃
- ・収納の有無
- ・駅からの距離
- ・室内外の設備
- ・周辺の住環境
- ・日当たりの良し悪し
- ・外観の良し悪し
- ・セキュリティ面
物件を選ぶポイントは人によって様々ですので、以上が全てではありませんが、需要を見極める上で一つの目安としたいのは「その土地がどんな人に需要があるのか」という点です。
その土地に大学や専門学校などが多くあるのであれば、単身者向けのアパートやマンションに需要があると考える事ができます。
また、比較的に都心部に近いベッドタウンであれば、ファミリー層向けの3LDKや多少古くても戸建て物件などに需要があるかもしれません。
もし、駅から遠く、周辺に田畑が広がるばかりの単身アパートを購入したところで、そういった土地柄を好む方には良いかもしれませんが、空き室となった場合はなかなか次の入居者が決まる事はないでしょう。
「とりあえず利回りの高い物件を買えば、そのうち購入費用分くらいはペイできるだろう」と安易に考えるのではなく、その物件が周辺環境に対して需要のあるものなのかどうかを見極める事は物件選びにおいて絶対に忘れてはいけない事です。
続き→3つの利回りとは?わかりやすく解説「はじめての賃貸経営」