ミニミニ福岡がおとり広告で行政処分!おとり物件って何?

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不動産オーナー様も本記事をお読みいただいている賃貸ユーザーの方も、これまでに不動産会社に訪れたり、インターネットの賃貸サイトなどをご覧になられたことが一度はあるのではないでしょうか。

そんな中、稀に「え!すっごい良い物件じゃん!」なんて、自分の希望に適った素敵な物件に巡り合えればラッキー、気分も高揚しますよね。
ただ、いざ物件の問い合わせをして不動産会社に足を運んでみるとこんな結果が…

「いやぁ、あの物件、人気が高いので契約決まっちゃったんですよ~。」

そんな担当者の話の真偽を見極めるのは難しいところですが、実はその物件、おとり物件かもしれませんよ!
今回は、ミニミニが受けたおとり広告における行政処分の内容とおとり広告について解説させていただきます。

業界初!ミニミニに行政処分。何故?

行政処分というと、免許取り消しや営業停止などを連想しますが、今回は違法行為の再発防止を求める措置命令になります。

とはいえ、不動産業界における処分は主に業務改善命令、業務停止、免許取消といったものがありますが、消費者庁による景品表示法違反への処分権限が都道府県でも行えるようになったのが3年前。
そして今回、初めて都道府県による行政処分が行われる事となったのが、「ミニミニ福岡」です。
ミニミニというとテレビCMでも見かけることもある賃貸物件を主体とした大手不動産会社ですが、日本全国で11エリアに分けて営業を行っています。
そのエリアの中にあるのがミニミニ福岡です。

処分の概要

大まかな内容としては、不動産業界ではよく聞く「おとり物件」による営業をミニミニ福岡が行っていたため、福岡県から再発防止策や改善を求める措置命令が出されたというもの。
今年3月から5月にかけてのまさに引越しの繁忙期の時期、実際には募集の無い架空の物件20件程度をインターネットに掲載。
20件程度とはいえ、違反は違反。
更に不動産ポータルサイトは1つではありませんので、結果的に数十件のおとり物件が様々な賃貸サイトに掲載されたため、今回の事件に発展したという事なのです。

ミニミニ福岡の対応

これに対し、ミニミニ福岡は「手違いで掲載してしまった。再発防止に努める。」と述べているようですが、ミニミニ福岡のHPを確認してみると以下のようなお詫び文が掲載されています。

この度、株式会社ミニミニ福岡本社が景品表示法違反(おとり広告)で、福岡県より再発防止策を求める措置命令を受けました。
お客様、関係各位の皆様方には多大なるご心配をおかけし、ご信頼を損なう結果となりましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
 
引用:ミニミニ福岡「お客様、関係各位の皆様へ」
http://minimini.jp/corp/fukuoka/

正直なところ、おとり物件数十件を手違いで掲載してしまう事は考えにくく、「おとり物件で措置命令を受けました」と認めている事からも、意図的に行われていたのではないかと容易に推測できます。

さて、今回騒ぎとなった、ミニミニのおとり広告に関する行政処分ですが、そもそもおとり広告とは何故行われるのでしょうか。

おとり広告の意味、そしてその目的とは

そもそもおとり広告とはどんなものか、おさらいの意味も兼ねて考えてみましょう。

例えば、下記のような物件を比べてみましょう。

物件名:Aマンション
家賃:7万5千円
間取り:1DK
設備:バストイレ別(追炊き付き)、2口コンロ、エアコン、全室フローリング
駅まで:徒歩7分

物件名:Bアパート
家賃:7万8千円
間取り:1K
設備:エアコン、ロフト付き
駅まで:徒歩10分

パッと見ただけでもAマンションの方が良い物件だという事は分かりますよね。
ただ、高クオリティの物件であるにも関わらず、周辺相場と同等の家賃であることは気になります。
こういった場合はおとり物件である可能性がありますので注意が必要です。

なんでおとり広告を掲載するのか

何故、このようなおとり広告を掲載する必要があるのでしょうか。
それは…

反響(問い合わせ)が欲しいから

です。
不動産業界では、広告を掲載してエンドユーザーから問い合わせの連絡が入る事を「反響」と呼びますが、この反響を元にニーズの掘り起こし、そして他の物件の契約へ繋げるという事がおとり広告の目的なのです。
つまり、まずは来店させることがおとり広告の目的なのです。

もちろん、おとり広告で不動産屋さんに来店した結果、自分の希望に見合う物件を紹介してもらえる可能性もありますから、一概におとり物件を悪しきものとして排除すべきかというと、少々悩んでしまうところですが、ただ、ルールを破る事と結果論は別の土俵で考えるべきことだと言えるでしょう。

不動産業界では常套手段?

不動産業界では、昔からこのおとり広告は常套手段として使われています。
例えば、閑静な住宅街エリアで「土地50坪!1000万円!」なんて驚きの物件を見つけたと思ったら、「ウナギの寝床」といって、幅は狭く奥行きだけで坪数を稼いでいるような家を建てるには適さない物件であったなんてことは日常茶飯事なのです。

よって、不動産業者はその物件の契約をしてもらおうとは本気で考えておらず、これらに食いつくユーザーに対して他の物件を紹介するという営業活動を行いますが、しかしユーザー側としては、実際には広告に掲載されている物件が気になって問い合わせているのですから、その物件を見せてくれと言うものの、来店してみれば、冒頭で出てきたセリフを言われるのです。

「いやぁ、あの物件、人気が高いので契約決まっちゃったんですよ~。」

契約が決まったも何も、売る気のない適当な物件であったり、既に入居者のいる人気の賃貸物件であったりする物件ですので、そのような「人気が高くて現在は存在しない、若しくは存在しても契約させるつもりのない物件」を「おとり物件」というのです。

おとり広告は今後も厳しく処分される?

今回は、都道府県で行う初の行政処分という事で話題になっていますが、これまでに行政処分を受けた不動産会社はたくさんありますので、さほど珍しくないと思われるかもしれません。

しかしながら、おとり物件という手法は昔から当然のように行われており、仮におとり物件を管理する会社の目に入ったとしても「お宅の会社で掲載してる物件終わってますから!」という程度の、当事者間のやり取りで終始する事が多いため、なかなか改善されてこなかったという実情があります。

今回のミニミニの行政処分がどのように業界に影響するかは不明ですが、徐々におとり物件についての悪質性を声にする人が多くなってきている中でのミニミニの行政処分騒動ですから、不動産業界への影響が全くないという事はないでしょう。

おとり広告が問題視される理由

おとり物件は、先ほども申し上げましたとおり、不動産業者側としてはユーザーとの接点を持つための手法でもありますし、ユーザー側も真に良い物件に巡り合えればそれで良いのかもしれませんが、問題視される理由は以下のようなことがあるためです。

当該物件のイメージダウンに繋がる
問い合わせから物件が存在しないと分かるまでの時間が無駄になる
営業マンに会った結果、求めていない物件をゴリ押しされる
そもそも景品表示法違反

etc…

平成28年における全国の違反のある物件表示がされた件数

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会で調査した、平成28年における全国の違反のある物件表示がされた件数は2812件となっています。

参考:
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「平成28年度(2016年度)違反物件情報等の共有結果について」

昨年が3600件以上となっていたので、随分減ったと思われるかもしれませんが、2000件もあれば十分多い件数ですので、不動産業界におとり物件という一つの「習慣」が根付いてしまっているのだと推測できます。

今回のミニミニ処分の件でどれだけこの件数が減るのかは分かりませんが、今後の動向を見ていきたいところです。

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