基準地価から見る日本で最も安い土地!

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先日、2017年9月20日に国土交通省により発表された地価調査結果を元に、日本で最も高い土地、最も地価の上昇した地域などをご紹介させていただきました。
特に、銀座の「1㎡=3890万円」という数字に驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そして「最も高い土地」と聞くと、「では、最も安い土地は?」と更問が思いついてしまうのは人間の性とも言えるかもしれません。
そこで今回は、地価調査から見る、日本で最も安い土地を調べてみましたのでご紹介させていただきます。
併せて、今回の地価調査で最も下落率の高かった場所も見てみましょう。

日本で最も安い土地はどこにある?

まず最初に、日本で最も安い土地を探してみたいと思います。
利用するのは国土交通省で公開している「標準地・基準地検索システム」です。

日本全国の基準地価や地価公示価格を調べられる優れものですが、まずは地域や用途区分、調査年度などを一切指定せずに、地下上限だけを「1000円」と試しに入力し検索をかけてみる事とします。
「1000円なんてまさか…」と思われるかもしれませんが、実はちゃんとこの検索でヒットする場所があるのです。

今回その検索結果の中から最も安い土地を確認してみると、以下の土地が日本一安い土地であることが分かりました。

所在及び地番:北海道沙流郡平取町字荷負85番8
価格:790円(1㎡あたり)
地積:857㎡
都市計画区域区分:都市計画区域の定めのない区域
周辺の状況:一般住宅等が見られる郊外の小集落内の住宅地域
 
参考:国土交通省「標準地・基準地検索システム」

銀座の1㎡3890万円と比べると雲泥の差であることは一目でお分かりいただけるかと思いますが、地積が857㎡ですので、売りに出されていれば67万円で260坪の土地が手に入るという事になります。

現在は民家もあって人も住んでいる様子ですので手には入りませんが、260坪というと、一般的な建売戸建て住宅を30坪としても8~9軒分ということになりますので、まとまった分譲宅地がそのまま手に入るようなイメージですね。

日本一安い土地はどんなところ?

100万円以下でこれだけ広い土地が手に入るなら、田舎でのんびり暮らしたいという方にはもってこいの条件かもしれません。
では、上記にご紹介させていただいた北海道沙流郡平取町とはどんな地域なのでしょうか。

北海道と聞くと豪雪地のイメージですが、実は札幌よりも積雪量は少なく、北海道の中でも1年を通して住みやすい土地という事で平取町ホームページでも紹介されています。

基本的に周辺は山に囲まれており、海も近いという自然豊かな土地となっています。
各イベントや移住者支援なども行っていますので、人の住む場所としては特に問題はなさそうですね。

実はもっと安い土地がある!?

さて、基準価格から見る日本一安い土地をご紹介させていただきましたが、実はもっと安い土地があります。
これは、結論を勿体ぶるという事ではなく、「基準価格」と「公示価格」による違いです。

簡単に申し上げると、基準価格は不動産取引の目安とされるもの、公示価格は公的機関による税金や売買の目安として使われるものとお考えていただいて差し支えありません。

では、公示価格により公表されている日本一安い土地はどこになるのでしょうか。

所在及び地番:北海道勇払郡厚真町字軽舞280番
価格:510円(1㎡あたり)
地積:1616㎡
都市計画区域区分:市街化調整区域
周辺の状況:農家住宅等が点在する農村集落地域
 
参考:国土交通省「標準地・基準地検索システム」

先ほどのご紹介から更に200円以上下げて、1㎡510円という価格になっています。
地積が1616㎡ですから、82万円で490坪が手に入るという事なります。
改めてイメージしやすいように例えると、小学校のプールがおおよそ100坪前後ですので、その5倍ほどが100万円以下で手に入る事なります。

ただ現在は民家もありますし、そもそも市街化調整区域であるため「田舎でもいいから広い土地が欲しい!」と思っても手に入るものではありません。
基準地価でご紹介させていただいた土地に関しては、特に用途区分が定められていませんので、家を建てる程度なら可能ですが、騒音や匂いなどの周辺環境に影響を及ぼす大きな建物を建てる際には建築許可が必要になります。

2017年地価調査による日本で最も地価の下落した場所

ここまで、内容の全てに北海道という地域が登場してきましたが、今回発表された地価下落率でも北海道が登場します。
前回の地価調査の記事においては、訪日外国人の観光用にと、北海道虻田郡倶知安町というリゾート地が地価上昇率のトップという結果をご紹介させていただきましたが、下落率のトップにも北海道が名を連ねています。

とはいえ、まずは商業地と住宅地に分けて、最も地価の下落した場所を見てみましょう。

(商業地)
場所:沖縄県島尻郡久米島町字仲泊仲泊511番1
基準地価格:22,000円(1㎡あたり)
変動率:△9.8%
 
(住宅地)
場所:北海道美唄市東明2条2丁目1746番213
基準地価格:2900円(1㎡あたり)
変動率:△12.1%
 
参考:国土交通省 平成29年都道府県地価調査「下落率順位表(全国)」

沖縄県島尻郡は、沖縄県周辺の複数の島からなる地域で、久米島町はその中でも那覇から西方にある人口8000人ほどが暮らす島です。
広報を確認する限りでは主に観光に力を入れているといった様子が伺えますが、離島者が減少しないのか昭和30年を境に、人口、世帯共に減少の一途を辿っています。

北海道美唄市についてもまた、人口減少が多いとされて住宅地では最も地価の下落した地域となっています。
現在は22000人ほどが暮らしていますが、美唄市だけでなく北海道全体が地価の下落の目立つ地域でもあります。

人口減少に歯止めをかけるために自治体がどう動いていくのかといったところは、今後の不動産ニュースでも注目されるポイントなのかもしれません。

地価下落はネガティヴ情報ではない?

ここまで、日本の最も安い土地と、最も地価の下落した土地をご紹介させていただきましたが、こういった情報はニュースや新聞などを賑わす事はないものの、事実を知るとどうしてもネガティヴなイメージに捉えられる方もいらっしゃるでしょう。

当然、人口減少が進めば地域の財政に影響を及ぼしますので、安定した暮らしができるかどうかといった点では不安を覚えるかもしれません。

しかしながら、あくまで地価基準価格というのは不動産取引における目安であり、上昇、下落に一喜一憂するものではなく、更に現在の財政状況を表すものでもありません。

確かに北海道と言えば、エネルギー産業の変化や粉飾決算を発端とした夕張市の破綻といった苦い経験をしている地域もありますが、地価の下落をそういったネガティヴ情報と同等に見る必要はないでしょう。

地価価格は土地の需給の表われではありますが、自然の多い地域で商業地としての価値を追う必要があるかというと少々疑問ですし、人の住むには辛い場所であればそもそも地価が下落するのは当然の事と言えます。

不動産価格が安い=過疎地という見方をされるかたが多いようですが、そこには間違いなく人が住み、自然な形で生活を送っています。
地価の下落という情報が必ずしも地域の不活性化や衰退というイメージに繋がるとは言い難いかもしれません。

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