東京都の特優賃|不動産オーナーから見た特定優良賃貸住宅

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前回、不動産オーナー様から見た特定優良賃貸住宅について、おおよその仕組みを解説させていただきました。

前回記事:特定優良賃貸住宅「特優賃」とは|不動産オーナーから見た特優賃

今回はそこで解説しきれなかった「家賃保証」といった部分についてのお話となります。
近年では、本来とても良い仕組みであるはずの「家賃保証」という言葉自体が、サブリース問題を発端としたトラブルが多い事から、残念なことにあまり良いイメージで扱われることがありません。

今回は国や自治体から家賃保証が受けられる結果となるかもしれない特優賃について、東京都の場合を見ていきたいと思います。

東京都の特優賃は「都民住宅」

東京都でも特定優良賃貸住宅の制度はあります。
何分、日本の中でも狭い面積の3位でありながら人口密度は国内1位という土地柄ですから、特優賃となり得るような建物も少ないように思えますが、「東京都住宅供給公社」にて入居募集されている物件はあります。

東京都住宅供給公社では特優賃だけでなく、一般の賃貸物件や都営住宅の紹介も行っておりますが、その中に「都民住宅」なるものがあります。

「都営住宅」と「都民住宅」とで名前が非常に似ていて分かりづらいかもしれませんが、「都民住宅」が特優賃にあたります。
都営住宅は、東京都が管理運営する公営住宅で、主に低所得者向けに活用されている物件です。

ともあれ、特優賃である都民住宅ですが、東京都では以下の4つのタイプに分かれています。

公社施行型

東京都住宅供給公社が建設して、募集管理を行うもの
 

公社借上型

一般の物件所有者が建設して、東京都住宅供給公社が募集管理するもの
 

指定法人管理型

一般の不動産会社などが管理するもの。
 

東京都施行型

東京都が建設・所有し東京都住宅供給公社が募集管理するもの

これら4つのタイプのうち、一般の不動産オーナー様に直接関係するのが、「公社借上型」と「指定法人管理型」になります。

何やら、前回の解説ではお話しできなかった家賃保証や借り上げといった事がこの名前から推測できますが、どのようなものなのか、もう少し掘り下げてみたいと思います。

東京都での特優賃の取り扱い

では、東京都では特優賃についてどういった制度として扱っているのでしょうか。

ここで、東京都都市整備局で公表されている情報から、東京都での特優賃の内容をご紹介させていただきます。

都民住宅(特優賃)とは…
「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づき、面積や設備等について一定の基準で建てられた、中堅所得者向けの賃貸住宅。
 
種類…
(都民住宅A型)国と東京都が、建設費と家賃の一部補助が行われている住宅
(都民住宅B型)建設費の補助が行われている住宅
 
参考:東京都都市整備局「都民住宅・都市型民間賃貸住宅について」

このように、建築費と家賃の補助をしているものと、建築費のみ補助をしているものとで分かれているようですが、非常に残念なことに、現在は都民住宅の新規建設を行っていないとの記述もあります。

つまり、東京都へ特優賃を前提とした申請しても承認が下りない可能性が非常に大きいと言えるでしょう。

東京都で実施された特優賃の要綱

東京都では現在新規建設を行っていないという事実があって残念に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は特優賃について理解を深める目的ですので、今後の参考としてもう少し東京都の特優賃について見ていきたいと思います。

東京都都市整備局では「都民住宅制度要綱等」を公表しておりますが、そこから確認できる特優賃の内容をご紹介させていただきます。

(都民住宅の供給方式)
都民住宅は、次に掲げる方式により供給する。この場合において、法令等に基づく特定優良賃貸住宅供給促進事業の制度を活用するものとする。
 
・民間活用方式
民間の土地所有者等が建設し、第 10 の規定により指定する法人、又は東京都住宅供給公社が管理受託し、又は借り上げて供給する方式、及び指定法人が自ら建設し供給する方式
 
・ 公社施行方式
公社が自ら建設し、又は市街地再開発事業の保留床等を購入して供給する方式
 
2 民間活用方式により供給する場合は、家賃減額を行わない都民住宅を供給することができる。
家賃減額を行わない都民住宅を「建設費補助型」、家賃減額を行う都民住宅を「建設費・家賃補助型」とする。
 
引用:東京都都市整備局「都民住宅制度要綱等」

ここでようやく、正式に東京都が借り上げを行うと言っている事が確認できますが、それ以外に少々気になる決まり事がある事も確認できます。

(管理期間)
都民住宅の管理期間は、原則として「建設費・家賃補助型」及び公社施行方式にあっては20年間、「建設費補助型」にあっては 10 年間とする。
 
引用:東京都都市整備局「都民住宅制度要綱等」

つまり、東京都における特優賃では、家賃減額を行った際の家賃の補助や、場合によって物件自体を東京都住宅供給公社が借り上げる事ができるとしていて、家賃補助については20年という上限があるという事になります。
特優賃の制度の中では、建築費用の融資を受けやすくするように便宜を図るといったことも実施されているようですが、仮に融資を受けて建物を建築したのであれば、20年の中で完済していないと少々困ったことになりそうです。

不動産オーナーにとっての特優賃のデメリット

さて、ここまで特優賃についての概要や、東京都における特優賃の扱いを見てきました。
家賃の補助が受けられるという事で、賃貸ユーザーにとってはお得な物件だと好評なようですが、不動産オーナー様から見た特優賃はどうなのでしょうか。

不動産オーナー様側からの特優賃には様々な見解があるようですが、やはりメリットだけではなくデメリットについて語る方もいらっしゃいます。
それが以下のようなもの。

建物のクオリティが高くなる特有の仕様となっており、建築費が高くなりがち。
入居審査や手続きが非常に煩雑で、入居者にとっての事務的な負担が大きい。
上記の事から途中で入居を諦めたり、入居までに通常よりも多くの時間を要する事がある。
少子高齢化やアパートの乱立により、入居者が減っている。
20年後の借り上げや家賃補助、特優賃としての管理終了後は、一般の賃貸住宅としての管理に切り替える必要がある。

そもそも、特優賃自体が、日本のバブル期に作られた制度であるため、一部のメディアでは公社自体が既に借り上げや家賃補助に苦労しており、あまり積極的ではないとの見方しているものもあります。

実際に、本来はありえないはずの期間前の借り上げの終了などが行われたケースもあり、特優賃の制度自体に少々不安が出てきたのも確かです。

特優賃まとめ

いかがでしたでしょうか。
東京都が現在、新規に特優賃の物件を募集していないところを見ると、他の自治体についてもあまり積極的に特優賃を募集しようという気配がなさそうだという事は見て取れます。

もしかすると、それが一般情報として不動産オーナー様側から見た特優賃についての情報の少なさに繋がっているのかもしれません。

しかしながら、建物を建てて運用していくという事は自治体にとっても一つの事業というカテゴリになります。
よって、現在は新規建設の特優賃は少ないにしても、元々クオリティの高い物件であることから、これまでに建築したものを公務員社宅や社員寮、高齢者施設といった別の形での再活用もあり得なくはないでしょう。

もし、自身の所有する物件が公的に活用される機会やチャンスがあるのなら、積極的に情報を収集してみると、意外な安定経営に繋がる可能性もあるかもしれませんね。

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