都政と不動産「都民のアイディアに10億円!小池知事の新たな試み」
小池百合子氏が都知事となってから早いもので1年が経過しました。
知事就任直後から五輪会場の問題や築地移転問題で連日テレビや新聞に登場してきましたが、都議選で都民ファーストの会が大勝利をおさめ議席数を大きく伸ばし、待機児童問題への取り組みの強化や私立高校の授業料無償化など、直接都民に影響のある政策も進めてきました。
そしてここへきて、また新たな取り組みが明らかになりました。
その中には予てより問題視されていた空き家問題も含まれますので、不動産オーナー様にも少し気に留めていただきたいものになります。
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では、どんな取り組みで、具体的にどのような政策なのかご紹介させていただきます。
目次
都道府県初!?「都民・職員による事業提案型予算制度」
今回の記事の元となったのは、先日各メディアで報道された以下のようなニュースです。
筆者個人としては、非常に興味深い内容でしたのでご紹介させていただきます。
参考:テレ朝news「予算案に反映させる制度 東京都民からアイデア募集」
これは記者会見でも言っている事ですが、小池都知事が発案者ではなく、都職員からのアイディアを形にした結果だそうなのですが、都民ファーストと言うに相応しい決定だと言えるのではないでしょうか。
事業提案型予算制度の取り組みが決まった理由
この取り組みに対する制度名が正式に決まったのかどうかは不明ですが、記者会見では「都民・職員による事業提案型予算制度」との名称で発言されました。
今回この、都民・職員による事業提案型予算制度の取り組みが決まったのには以下のような理由があります。
参考:東京都小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成29年9月15日)
事業提案型予算制度の提案事項
さて、この都民・職員による事業提案型予算制度ですが、提案事項としてのジャンルは以下の6項目になりますが、各事業に対して予算を2億円組むと発言しており、都民、職員へのアイディアに10億円をかけようという大きなプロジェクトになります。
・子育て支援
・高齢化対策
・働き方改革
・防災対策
・空き家活用
・環境対策
都知事自身も、「これは、結構凄いですよ」との発言もされており、当政策に期待を寄せている事が伺えます。
空き家問題の解消に都民のアイディアが反映される
さて、上記のとおり、都民、職員からのアイディアが直接都政に反映される可能性が高い都民・職員による事業提案型予算制度ですが、空き家活用というカテゴリが気になるところです。
東京都の空き家問題への取り組み
東京都によると、平成25年度の空き家は82万戸あり、そのうちの60万戸ほどが賃貸物件であるとの総務省の調査結果を元に、「東京都空き家対策連絡協議会の設置」や「東京都相続空家等の利活用円滑化モデル事業」といった取り組みを既に始めています。
前者は都内における空き家の実態やその理由の調査、今後どのような対策を講じるべきかといった事を、平成29年中に2度協議していますが、特に画期的な案が生まれたですとか、空き家問題への対策を実行したという事はありません。
また後者については、相続などで発生する空き家の賃貸、管理、売却などの活用を推進するため、そのモデルとなる事業者を募るというものです。
モデル事業を行った結果を都民に広報していく事で空き家の活用を促していこうという目的があります。
空き家対策に事業提案型予算制度はチャンス?
とはいえ、こういった空き家バンク的な取り組みは珍しい事ではなく、他の地方自治体では既に始めている事であり、大きな成果を出した地域もあります。
対する東京都においては、空き家対策が進んでいるかというと、正直なところ問題の解消へ繋がる大きな変化はないと言って良いかもしれません。
となると、日ごろから賃貸経営をされている不動産オーナー様や、土地活用のアイディアをお持ちの方などで、行政の制限やその他法的な制限で思ったように事業が行えないとお困りなのであれば、今回の都民・職員による事業提案型予算制度はチャンスになるかもしれません。
事業提案型予算制度いつから開始?具体的な内容は?
空き家問題に一翼担うかもしれない都民・職員による事業提案型予算制度ですが、具体的にいつから始まるのでしょうか。
東京都のホームページを確認すると、早くも以下のような詳細が掲載されています。
募集期間:平成29年9月29日~11月7日
提案方法:「都民による事業提案制度申請様式(案)」により申請
提案条件:
1.提案は都民1人(若しくは1グループ)で1件まで
2.現金の給付、施設設備に該当する事業は不可
3.提案内容は、検討の過程で変更を加える可能性がある
決定事項:
1.提案事業は、原則として単年度事業とする
2.各分野から1事業を選定する
3.平成30年度の予算案に反映する
注意事項:
1.提案内容は個人を特定しない形で公表する場合がある
2.提案に対する個別の回答はしない
3.提案に関わる全ての権利は東京都に帰属
4.個人情報は文書保存期間終了後に消去する
他の詳細は後日、東京都財務局にて公表されるようですが、応募に費用が掛かるわけでもないようですので、まるで徳川吉宗の考案した「目安箱」のような政策に、多くの都民から応募があるのではないかと推測します。
空き家問題にどんな提案を?
東京都だけではなく、空き家問題はこれまでにも全国で取り組みが行われてきましたが、自治体や専門機関で出される提案は出尽くした感があるのは筆者だけではないかもしれません。
・民泊への活用
・農業支援とのコレボレーション
・シェアハウスへとしての活用
・事務所や店舗として活用する事を条件に固定資産税の減税
・展示会や短期貸店舗としてなどのフリースペースとしての活用
etc…
こういった既に始められている取り組みはもちろんですが、それ以外にも、オーナー様ならではのアイディアもあるかもしれませんし、全く不動産に関わりの無い方だからこそ生まれる発想もあるかもしれません。
都民からどのようなアイディアが出されるのか、楽しみにしたいところです。