意外と身近な賃貸トラブル事例集~建物老朽化と退去請求編~

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賃貸物件を所有して経営していくとなると、貸主借主の間でのトラブルはつきものです。
シリーズとして賃貸トラブルについてご紹介させていただきましたが、そこにはやはり「人」が必ず関わっていました。

今回は、賃貸トラブルの中でも人が直接的なトラブルの原因とならないケースとして、「建物の老朽化」に焦点を当てて、トラブルの事例をご紹介させていただきたいと思います。

建物の老朽化で起こり得るトラブル

一般的に、賃貸物件のうち木造アパートの物件なら20年前後、軽量鉄骨で30年前後、鉄筋鉄骨などですと50年前後が寿命だと言われています。
とはいえ、これらは税務上の耐用年数を目安にしているため実際はもっと長く活躍している物件は多く存在します。
事実、筆者が以前に住んでいた築30年の木造のアパートは未だに取り壊されることもなく、現役で入居者を募集しています。

とはいえ、不動産は木造か鉄筋かという区別だけではなく、設備あってこそのものです。
それらが老朽化してくると様々なトラブルに発展する事も十分に考えられますので、予め建物の老朽化については対策を検討しておきたいところです。

では、実際にどのようなトラブルがあったのか、一覧で見てみましょう。

・賃貸で貸している1階で店舗経営を行っているため、修繕を行いたいが退去に応じてもらえない。
・賃借人が水道の修理を勝手に依頼してしまい、本来ならもっと安く修繕できたはずの費用が高くなった上、修繕費を賃借人から請求された。
・共有部の破損により、賃借人が怪我をしたという事で損害賠償請求に発展した。
・老朽化により放置していた物件に対して、ゴミの投棄や悪戯が絶えない。
・雨漏りが発生してしまい、契約している1階の店舗から休業期間の補償を請求された。
・そもそも老朽化による外観の古びた印象から入居者が見つからない。
・見た目の悪さから景観も悪くなると近隣住民から苦情が絶えない。

主に以上のようなトラブルが報告されていますが、最も相談件数として多いのが、建て替えやリフォームの為の退去の依頼に応じてもらえないというものです。
当然ながら賃貸契約という前提がありますので、退去を依頼するには相応の理由が必要になります。

では、老朽化による退去依頼をする際にはどのような点に気を付けていけばよいのでしょうか。

建物老朽化に多い立ち退き問題

建物の老朽化問題における最も事例として多い「立ち退き要求」ですが、「リフォームをする」「修繕をする」という正当な理由があったとしても、突然立ち退きを要求できるわけではありません。

確かに、借地借家法28条においては以下のように定めていますので、正当な理由であれば立ち退き要求ができるものと考えられます。

「建物の賃貸人による更新の意思の通知、又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として、賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」
 
参考:借地借家法28条

法律とは往々にしてこのような難解な言い方をするものですが、何を言っているのかを大まかに言い換えますと「賃貸人は、正当な理由を元に賃貸借契約の解約を申し出るなら、ちゃんと賃借人の事情を考慮して、退去の条件として立ち退き料を支払いましょう」という事になります。
つまり、賃借人の事情を無視して一方的に「出て行ってくれ!」と言う事はできませんよと言っているのです。
しかしながら、いくら立ち退き料を支払うとは言っても、以下のようなことにも気を付けなければいけません。

「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6カ月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知、又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。」
 
参考:借地借家法26条

この借地借家法26条では「更新をしないのなら、両人共に更新日の1年前から6カ月前の間に更新をしないと伝えなさい。それを伝えていない場合は更新をしたものとみなすが、契約期間に定めのない更新とする事」という事を言っています。
よって、28条と26条を足し合わせて考えて、賃貸人側の解釈とすると以下のように言えるかもしれません。

「賃貸人側の正当な理由により解約の申し出をするなら賃借人の事情を考慮して立ち退き料を支払いなさい。また、更新をせずに解約を希望するなら更新日の6カ月~1年前以内に申し出を行うこと。ただし、諸事情により6カ月前までに更新をしない旨の通知ができなかったとしても、契約期間は定めない更新とするから、その間に両者で話し合いをしましょう。」

賃貸契約は、契約時は貸主有利と言われることが多くありますが、契約後は借主有利な面が少なからずあります。
ただし法律では、借主が意味もなく立ち退きを断固拒否できるようにはなっておらず、現実問題として建て替えや大規模修繕ができるようにしっかり整備されています。
とはいえ、お互いにとって賃貸契約は生活に密着した大事なものですから、他にも難しい問題を抱えている不動産オーナー様もいらっしゃるかもしれません。
ご自身の判断では不安だという方は弁護士等に相談した方が良いでしょう。

建物の老朽化によるリスクを把握する

さて、建物の老朽化による様々なトラブルや、立ち退き請求の具体的なお話をさせていただきましたが、老朽化でトラブルの元となるものを放置していると、場合によっては刑事事件に発展する事さえあります。
上記ではトラブル事例をご紹介させていただきましたが、建物の老朽化を放置する事にどんなリスクがあるのでしょうか。

・建物の外壁や屋根の落下
・電気系統のショートによる火災や漏水などによる損害賠償
・地震による建物の倒壊

物理的なところで見てもこれだけの危険性がある事は容易に想像できます。
他にも以下のようなリスクがあります。

・ネズミ、シロアリなどの害虫被害
・明らかな景観の悪化
・不審者による悪戯、放火
・木や草の繁殖、汚水、ゴミの投棄などによる衛生環境の悪化

子供の頃に、明らかに誰も住んでいないようなアパートを目にしてギョッとした経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、もし自身の所有する物件がそのように見られてしまっていたら悲しいことです。
老朽化は見た目だけではなく、人の命にさえ関わる重要事項ですから、早めのリフォーム、修繕、若しくは建て替えなどを検討しておき、現在入居中の方々からの退去の理解を得られるよう、入念な準備が必要だと言えるかもしれません。

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