積水ハウスの63億円詐欺事件続報!積水ハウスだけがターゲットではなかった!
先日、大阪に本社を持つ、日本最大手の住宅メーカー「積水ハウス」が、地面師により63億円もの詐欺被害にあったというお話をさせていただきました。
今回はその続報となります。
未だ解決の糸口が全く見えてこない今回の事件ですが、徐々に内容が明らかになってきているようです。
とはいえ、それは地面師の巧妙な手口のほんの一部だとも言えるかもしれません。
積水ハウスのIRに動き
8月にIRされてから約1か月ほど経過した63億円の事件ですが、このまま世間の注目は薄れていくのではないかという空気が漂い始めていましたが、今回、積水ハウスのホームページにて、新たなニュースリリースがありました。
内容は決算情報と本件に関するプレスです。
今回の事件の特別損失を「55億5900万円」として計上しており、「平成30年1月期 第2四半期決算短信」にて確認する事ができます。
また、本件に対して「調査委員会を設置」、「取締役については2か月間の10%の減俸処分とした」という内容もリリースされいます。
「分譲マンション用地の取引事故に関する調査対策委員会の設置について」
平成29年8月2日付で発表いたしました『分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして』(以下、本件といいます。)に関しましては、犯罪に巻き込まれた可能性が高い事案ではありますが、当社のリスク管理上の問題点等を調査・検証するために、下記のとおり、社外役員による『調査対策委員会』を設置いたしておりますので、お知らせいたします。
引用:積水ハウス株式会社「分譲マンション用地の取引事故に関する調査対策委員会の設置について」
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/
「取締役の減俸処分等に関するお知らせ」
平成29年8月2日付で発表いたしました『分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして』(以下、本件といいます。)に関し、本日の平成30年1月期第2四半期決算において、特別損失としての計上を公表いたしました。取締役会としての責任を明確にするため、下記のとおり、取締役の減俸処分を本日開催の取締役会において決議いたしましたので、お知らせいたします。
引用:積水ハウス株式会社「取締役の減俸処分等に関するお知らせ」
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/
参考:積水ハウス株式会社「平成30年1月期 第2四半期決算短信」
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/
前回の記事では、担当者や司法書士という人間がいながらにして、なぜ騙されてしまったのかといったところをお話させていただきましたが、ジャーナリストの伊藤博敏氏の記事によれば、どうやら売主側、買主側の両サイドに弁護士も同席していたようで、前回の記事を執筆しながら既に感じていた違和感が更に増したと言わざるを得ません。
参考:現代ビジネス「63億円「地面師事件」警察が追う「成りすまし女」の新写真を入手!」
別の不動産会社にも売却話は持ちかけられていた
更に続報は続きます。
今回、以下のような報道がされているのを見て、筆者としては特別に驚きを感じる事はありませんでしたが、こういった報道がなされているという事は、警察も必死に捜査を行っているのだなという印象を受けました。
参照:テレ朝news「別の会社にも売却話を…積水ハウス“地面師被害”」
報道内容によると、地面師グループは積水ハウスへ話を持ち掛ける以前に、他の不動産業者へも訪れていたとの事。
今回取材に応じている不動産会社の担当者は、運転免許証の代わりにパスポートと印鑑証明を用意してきたが、後日、地主は別人であり、不動産会社を訪れた人間はなりすましの人間であると判断し、契約には至らなかったとの事。
更に、地主になりすました犯人はふてぶてしくもこう言っています。
「おたくがやらなきゃ、積水さんとか他にもあるから」
筆者個人としては、こういった交渉方法は「なぜ急かす?」という疑問が湧くため、詐欺師にしてはちょっと雑な交渉している印象を受けます。
とはいえ、警視庁ではこういった事実があることから、他にも話を持ち掛けられた業者はあるのではないかということで捜査を続けているとの事。
更に新事実が報道されている!
IKUTA社の存在
さて、前回の記事にも登場しましたIKUTAホールディングスですが、一部報道によれば、IKUTA社の存在がやはり出てきます。
上記でも申し上げておりますが、取引の場には地面師本人、弁護士2名、司法書士、積水ハウス担当者に加え、IKUTA社の社長が同席していた事になります。
IKUTA社の社長に関しては様々な話が出ているようですが、どうやら不動産企業との付き合いが広いものの、現在は資金難などで困っているとの事。
そこへ今回の話。
IKUTA社の事を指しているのかは不明ですが、NEWSポストセブンの記事によれば、「今回の事件では、なりすまし実行犯のKだけでなく、計画全体をとりまとめたもう一人の地面師が背後にいたと見られている。積水ハウスとの交渉の場にも同席していたという不動産ブローカーだ。」と言っており、これを読んだ筆者はすぐに「あれ?それって…」と感じたのは言うまでもありません。
引用:NEWSポストセブン「積水ハウスが63億円騙し取られた“地面師”男女の仰天手口」
徐々に明らかになる事件の真相
不動産や投資、お金の絡む話の世界では「報道は遅れた情報」なんて言葉が出る事がありますが、こういった事件に関しても同じことが言えるかもしれません。
実際、報道機関に発表される警察の捜査内容は、そのほんの一部です。
そもそも、捜査関係者がその内容を事件解決前に公表する事はありませんので、実際は上記までの内容よりも操作は進んでおり、公表しても良いレベルにある話として報道されているのではないかと考えます。
筆者は警察の関係者でもなく、ジャーナリストでもありませんので事実を書くにはふさわしくない立場ですが、数々の報道や記事の内容等を見ている限りでは、徐々に事件の真相が明らかになりつつも、本当の犯人に近付くにはまだまだ道のりは遠いであろうと感じています。
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