賃貸経営のメリットとデメリットを解説「はじめての賃貸経営」
「最近、アパート経営のCMをよく見かけるようになったけど、自分でもできるんだろうか。」
これまでに賃貸経営について考えたことがなくても、テレビCMで「サラリーマンでも始められる」なんて謳い文句を見てしまうと、どうしても気になるものですよね。
現在、賃貸経営を始めるか迷っている方も、既に賃貸経営を始めようと決意された方も、初めての賃貸経営ともなれば不安どころか、「何が分からないかが分からない!」なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これまでは既に賃貸経営をされている方向けの情報をご紹介させていただきましたが、今回から「はじめての賃貸経営!成功オーナーになるには?」ということで、そもそも賃貸経営とは何か、賃貸経営を始めるにあたって大事なポイントや注意点といった事をシリーズとしてお話させていただきたいと思います。
目次
賃貸経営を行う3つのタイプ
賃貸経営をされている方の中には様々な理由や意図がありますので、一口に賃貸経営をする理由や必要性を語る事は難しいのですが、主なところとしては3つのタイプが考えられます。
- 不労所得や土地の値上がりなどを期待した「投資タイプ」
- 現金以外の資産を持つ事を目的とした「資産形成タイプ」
- 相続税や所得税などを安く抑える「節税タイプ」
他にも転勤の間だけ安く貸し出すとか、単に不動産というものが純粋に好きであるといった理由もありますが、テレビCMや電車の広告などで「アパート経営を始めよう!」と大々的に謳っているからといって、目的が定まっていないうちに賃貸経営を始めるべきではないと言えるでしょう。
何故ならアパートにしてもマンションにしても、はたまた転勤になってしまって自己所有の一戸建てを貸し出すにしても、そこには「お金」「手間」「人」との関わりが絶対的に絡んできます。
つまり、毎日の仕事が忙しすぎて時間がない、もうすぐ結婚の予定がある、収入はあるが不安定であるといったように、ある程度の時間的な余裕や、資産形成をする上での経済的な余裕がない場合にはあまりお勧めはできないかもしれません。
では、実際にどのような人に賃貸経営がお勧めなのかといった点をメリットやデメリットと併せて確認してみましょう。
賃貸経営を行うメリットとは?
まず、賃貸経営が何かと話題になったり魅力的に語られる理由を考えてみたいと思います。
賃貸経営を行う理由は前項で申し上げたような理由が主なところですが、もう少し具体的なメリットを見てみましょう。
賃貸経営のメリット
(1)家賃収入をそのまま不労所得として得られる。
(2)相続税や所得税などの節税対策として活用できる。
(3)為替相場や株価などに左右されず、インフレデフレに強い資産形成ができる。
(4)レバレッジ効果による大きな資産形成が可能。
(5)団体信用生命保険があるため生命保険代わりとして物件を持てる。
(6)分散投資の一環として活用できる。
賃貸経営を行うメリットとして、主に上記のような点が挙げられます。
尚、初めての賃貸経営ですと、(5)と(6)については少し分かりづらいかもしれませんが、まず(5)の意味からご説明させていただきます。
レバレッジとは「テコ」の事になりますが、つまりは小さな労力で大きなものを動かす力のことを指します。
賃貸経営におけるレバレッジとは、まずは1軒の安定した収益が得られる賃貸物件を所有し、それを担保に2軒目の物件を銀行からの融資にて購入する事で、1軒分の費用で2軒分の資産を手に入れるような方法を言います。
もちろん、2軒共に健全かつ安定した収益が挙げられる事が前提となりますので、「1軒買ったからもう1軒持てるんだ!」という単純なお話ではない事は注意しましょう。
また、(6)の生命保険代わりとして物件を持てるという点ですが、自分が不慮の事故や病で死亡してしまったとして、もし住宅ローンを組んで物件を購入していたような場合であっても「団体信用生命保険(団信)」に必ず加入する事となっていますので、団信から物件の残債が支払われるため、家族には物件を残してあげられるというメリットになります。
ここまでを見ると、何だか賃貸経営は良いこと尽くしのように思えてきますが、メリットだけではありません。
メリットだけじゃない!賃貸経営のデメリットやリスク
誰しも「不労所得」「節税効果」と聞くと、直接自分のお金に関わる事であるためどうしても興味が湧いてしまうのではないでしょうか。
確かに賃貸経営はメリットの多い投資という事ができますが、少なくとも以下のようなデメリットやリスクがある事は十分に理解しておく必要があります。
賃貸経営のデメリットやリスク
(1)空室が発生した際の収入減少。
(2)金利上昇による住宅ローン返済額の増加。
(3)換金性の悪さから現金化に時間がかかる。
(4)物件の運用に費用が掛かる。
(5)物件の管理や滞納家賃などの対応に追われる。
(6)悪質な入居者などによる法的トラブルの可能性がある。
メリットとデメリットを比較した時の明確な違いは、「お金」だけではなく「手間」や「人的なトラブル」が発生する可能性があるという事です。
購入した物件を賃貸して収入を得るという事は、言い換えれば「会社を経営する」のと同じようなことであるという事ができます。
そこには、運営に関する手間や、人の関わる様々なトラブルが発生するという事は容易に想像する事ができます。
こういったデメリットを許容しても尚、メリットの方が大きいと考えられるのであれば、賃貸経営を行うことに向いていると言えるのかもしれません。
どんな人が賃貸経営に向いている?
さて、賃貸経営のデメリットのお話の中で「メリットの方が大きいと思うなら賃貸経営に向いている」と申し上げましたが、具体的にどんな方が賃貸経営に向いているのか考えてみましょう。
(1)賃貸経営を会社経営と同じように考えられる人
賃貸経営を行うメリットでも申し上げましたが、最大のメリットはやはり「不労所得を得られる」という点になるでしょう。
ただ、往々にして勘違いされがちなのは、不労所得を「何もしなくても勝手にお金が入ってくる」という風に解釈してしまうことです。
不動産を持って誰かに貸し出すという事は、一つの会社経営だと考えるべきです。
事実、不動産を複数所有し、それらを運営するための別の会社を自身で立ち上げている人もいらっしゃいますし、実際のところ、都内に多く立ち並ぶビル群を経営するデベロッパーや不動産会社がまさにその典型です。
改めて申し上げますが、「放っておいてもお金が勝手に入ってくる」という考え方で賃貸経営を始めるのはお勧めできません。
(2)長期的な目線で数字を見られる人
バブルの頃に良く聞くことのあった「土地転がし」という言葉がありますが、賃貸経営に置いては土地の値上がり益、つまりキャピタルゲインを目的にすることはお勧めできません。
本記事を執筆している段階では、東京オリンピックを控えて土地の価格が上昇していますが、今後土地の価格が上昇し続けるわけではありません。
むしろ、少子高齢化により不動産需要は減っていくだろうとすら言われていますので、「土地が値上がりしたら大きな利益が得られる!」という考えは捨てた方が良いかもしれません。
それよりも、継続的に利益をもたらしてくれる可能性のある自己所有の物件を安定的、且つ効率的に運営する事にウエイトを置いて、長期的な目線で資産形成をしていく事が重要だと言えます。
(3)マメな人
マメな人と言っても、物件を毎日掃除しに行くような人の事ではありません。
(1)でも申し上げましたが、賃貸経営は会社を経営する事と同じですから、少なくともズボラな人には向いていないかもしれません。
仮に、物件の管理から家賃の集金、空き室の募集といった全てを管理会社に任せたとしても、最終的な判断や責任、収入の有無は全て自身に関わる話となります。
賃貸経営を行われる方からよく聞く話で、何かある度に「弁護士(若しくは司法書士)に任せてあるから」なんて仰られる方がいらっしゃいますが、弁護士や司法書士はあくまで法的な手続きやトラブルの解決をするための専門家であって、家計簿を付けてくれるわけでも経営を代わりに行ってくれるわけでもありません。
それは、管理会社とて同じことなのです。
自分自身で物件について把握しつつ、物件に長く活躍してもらうためには、やはり自身のある程度のマメさやリスクについて思慮深く考えられることが賃貸経営に必要な要素だと言えるでしょう。
初めての賃貸経営まとめ
このように、賃貸経営と一口に言っても、メリットデメリット、向き不向き、そして最終的には心構えといったところまでしっかり考えていく必要があります。
冒頭でも申し上げましたが「賃貸経営に興味があるけど何から勉強したら良いの?」という状態であれば、まずは賃貸経営のメリットを考えて、自分なりの目標を定めてみると良いでしょう。
そして、その目標に対してデメリットがどのくらい影響を及ぼしそうか、そして自分で物件を運営していく心構えができそうかといった事はしっかり考えることができれば、賃貸経営を始めるべきか否かといった結論が出せるのではないでしょうか。