賃貸物件の防犯対策!大家さんも考えよう!
アパートや分譲マンション、戸建てから店舗まで、賃貸を行う物件をお持ちのオーナー様にとって、安定した賃貸経営を行う事は永遠のテーマと言えるでしょう。
所有の物件が何のトラブルもなく、満室御礼の旗を付けて長く活躍してくれる、まさに順風満帆の賃貸経営を目指して日々様々な工夫や対策をお考えのことかと思います。
賃貸経営の行う根本は収益を得る事にありますが、とはいえ賃貸物件は物置ではなく人が住居として使うもの。
せっかくなら、気持ちよく快適に、安心して住んでもらいたいですよね。
近年では防犯対策としてオートロックや格子、防犯カメラなどを設置した建物がほとんどになりましたが、これをお読みのオーナー様はどのような防犯対策をしていらっしゃいますでしょうか。
もし防犯対策に自信がないというオーナー様がいらっしゃいましたら、これを機に防犯対策について考えてみてはいかがでしょうか。
目次
建物にまつわる日本の犯罪情勢
日本の犯罪の中でも、住居侵入による窃盗の件数は年々減少傾向にあるというのをご存知でしょうか。
警視庁では、様々な犯罪統計を公表していますが、その中で侵入窃盗の件数は以下のような推移となっています。
平成19年以降の侵入窃盗件数
平成19年 175,728件
平成20年 155,270件
平成21年 148,771件
平成22年 136,749件
平成23年 126,382件
平成24年 115,328件
平成25年 107,313件
平成26年 93,566件
平成27年 86,373件
平成28年 76,477件
平成28年の侵入窃盗件数の内訳
空き巣 27,113件
忍び込み 9,903件
居空 2,233件
※他、窃盗件数は除外
侵入窃盗自体は、平成19年以降から順調に減り続け、この10年ほどの間になんと半分以下にまで侵入窃盗の件数が減っています。
とはいえ、未だ7万件以上の住宅侵入による窃盗事件が認知されているという結果を見てしまうと、決して安心できるものであるとは言えません。
では、どのような住宅に対して、どんな手口での空き巣があるのかも併せて見てみましょう。
平成28年の住宅別空き巣件数
空き巣件数 27,058件
戸建住宅 17,576件
3階以下の建物 6,870件
4階以上の建物 2,612件
平成28年の手段別空き巣件数
無締り 10,183件
ガラス破り 11,249件
施錠開け 1,841件
合かぎ 1,324件
特殊開錠用具関係 117件
その他の施錠開け 400件
ドア錠破り 850件
戸外し 146件
その他 863件
不明 1926件
圧倒的に多いのが戸建住宅への空き巣被害です。
続く3階以下の建物については7千件近くの被害があるという事がわかりますが、やはり、侵入しやすい高さにある建物は狙われやすいという事でしょうか。
また、それらの証左となりそうなのが手段別の空き巣件数です。
低い建物であるが故に、人の目に付かぬように玄関ではなく裏口に回り、ベランダや窓のガラスを割って侵入するケースが多いようです。
物件のどこに防犯対策をすべき?
近年では当たり前のように存在しているオートロックエントランスのマンションや、高級マンションともなれば、入り口にコンシェルジュや警備員などが常駐していることもあり、昔と比べて防犯に関してはかなり高い意識をもって建設された建物が多くなったと感じる方も多いかと思います。
とはいえ、建物の入り口は一つではありません。
空き巣を行う犯罪者がわざわざ入り口から入って来るとは考えづらく(入口を敢えて利用する手口もあるようですが)、要は、どこか侵入できる隙があればどんなところでも、どんな侵入の仕方でも良いのです。
では、自己所有の物件のどんな場所に防犯対策を施す必要があるのでしょうか。
通路や入り口に防犯カメラを設置する
防犯カメラを設置するとなると、機材や維持に高い費用が掛かりそうなイメージですが、最近では自身で取り付けられるタイプの防犯カメラも市販されており、数万円もかからない費用で設置する事が可能です。
シッカリとした防犯カメラと監視体制を構築したいという事であれば、費用は高くなりますが、警備会社のサービスを活用しても良いでしょう。
玄関の鍵はピッキングが難しいものにする
賃貸アパートですと、未だに昔ながらのシリンダーキーを採用している建物が多くありますが、昨今ではピッキングに強いと言われている「ディンプルシリンダー」といったものがあります。
通常のシリンダーに比べて、鍵の表面に丸いデコボコがたくさん空いているため複雑さの増したカギであるためピッキングが難しいと言われています。
他にも、最近ではカードキーやICキー、指紋認証といったものまでありますし、IT社会ならではのスマートキーといった、リモコンやスマートフォンで開錠するタイプまであります。
予算に合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
モニター付きインターホン
犯罪者というのは顔を見られるのを誰しも嫌がります。
そういった点で上記の防犯カメラは有効な手段となるでしょう。
しかしながら、少々規模の大きいアパートやマンションであれば、作業員や宅配業者を装った侵入者がありますので、完全に建物内への侵入を防げるわけではありません。
そこで、入居者が直前で室内への侵入を防げるようにと、玄関にモニター付きインターホンを設置する事も防犯上での常識になりつつあります。
窓対策
侵入窃盗の件数で最も多かったガラス破りですが、やはり窓にも防犯対策は必要になります。
窓の防犯対策には様々な方法が考えられますが、1階の部屋であればシャッター付きの窓が最近ではポピュラーになりました。
2階以上でもシャッターを取り付けているアパートやマンションはありますが、そこまでする必要もないという場合でも、防犯ステッカーや窓に貼る強化フィルム、割れたら大きな音の出るガラスに変えるなどの工夫も考えたいところです。
防犯対策は入居者に対するメリットだけではない!
さて、防犯に関するアイテムや方法をご紹介させていただきましたが、上記までは侵入者が既に建物内に侵入している、いわば水際対策だとも言えるかもしれません。
できれば、建物に近付く前から侵入する気を無くすような工夫として、エントランスは近所迷惑にならない程度に明るくしておくですとか、植栽を多くしすぎて死角を作らないようにするといった工夫もできます。
また、どうしてもプライバシーを守る観点で死角となりがちなベランダや小庭といったものがあるのなら、踏むと大きい音の出る砂利を敷くなどの対策も必要でしょう。
このように、防犯対策となればたくさんの工夫やアイディアが生まれるものですが、入居者の安全を確保するのは大家さんの使命とはいえ、どうしても費用がかかるのが気にかかるところ。
しかしながら、こうした防犯対策を行う事は、入居者が安心して暮らせるというメリットでだけではなく、防犯意識の高い昨今では入居募集を行う際の大きなアピールポイントになります。
女性の場合は特に、オートロック付きのアパートを好む傾向にありますし、近年では、面格子が通路側に設置されたアパートが人気を集めており、簡単に共有スペースにすら入れないようになっています
駅や各種施設から遠くて、多少不便な物件を所有されていたとしても、「防犯性が高い物件に住みたい」ニースは必ずあるはずです。
そういった防犯面としてのメリットだけではない事を考えると、多少費用が嵩んだとしても、これを機会に防犯設備の設置を検討してみるのもよいかもしれません。
賃貸物件の防犯対策まとめ
以前に別の記事にて、事故物件の説明義務について少し触れたことがありましたが、賃貸物件における説明義務は、何も死亡事故だけではありません。
今回お話させていただいたような、窃盗や侵入といった刑事事件についても説明義務があるのです。
つまり、空き巣になんて入られてしまったら、所謂「事故物件」としての扱いになってしまうのです。
「この物件、空き巣が入るんだ…」
そんなイメージは間違いなくマイナスでしかありませんので、入居率対策の一環としても防犯対策は必要であると言えるのかもしれません。