マンション建て替えの検討から決定まで。老朽化マンションってどうなるの?

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「老朽化マンションってどうなるの?」コラムの第2弾は、実際の老朽化マンション建て替えへのアプローチとプロセスについてです。
前回の記事でも申し上げましたとおり、マンションの老朽化による建て替えにはいくつかの山を越えていく必要があります。

前回記事:老朽化マンションってどうなるの?老朽化マンションの行く末の疑問

戸建てと違って、複数の住人と権利関係がある限り、「古くなったから建て替えましょう!」という号令で一挙に話が進められるものではないのです。

スケジューリングをしっかり行い、有志や専門家の支援を募り、現住人の生活環境の変化や個人的な事情といった事とどう折り合いを付けていくかを全て話し合っていかなかければいけません。

では、マンションの建て替えの検討から、その決定までにどのようなことを明確化していく必要があるのか解説させていただきたいと思います。

まずは住民への理解と委員会の設置、選任

マンションの建て替えのきっかけとなるのは、その建物の修繕や法令点検等の際に判明する老朽化や耐震性への懸念です。

建て替えか修繕かという判断方法についてはかなり専門的な内容になりますので省略致しますが、建て替えというのは第三者機関から指導、命令等が行われるのではなく、国土交通省などで定めている安全性の確認項目の中で建て替えが必要という判断がされた場合に、管理組合が中心となって建て替えの話を具体化するための行動が開始される事になるのです。

建て替えに向けた委員会などを設置

とはいえ、いきなり建て替えの話を建築会社へ持ち込むわけではありません。

まずは建て替えに向けた委員会などを設置し、それに関わるメンバーを外部や住人の中から選出していきますが、「一般社団法人マンション再生協会」では、この選出する人として専門知識のある人を積極的に採用する事が望ましいとも言っています。

委員会の発足とメンバーの選出後は、いよいよ住人からのヒアリングやアンケート、定期的な説明会などを行い、建て替えに関する住人の意思確認と今後の建て替えに向けた調整を行っていく事になりますが、その際に気を付けたいのは、あくまでもまだ「検討よりも前の段階である」という事を伝えいてく事でしょう。

住民全てが賛成とは限らないというのは想像に難しくない事ですが、自分の知らないところで何かが決定して行われていくというのは権利者からすると気分の良いものではありませんし、「検討段階である」という時点で不安に思われる方もいらっしゃることでしょう。

ただし、ヒアリングを行う事になった理由として、耐震性や老朽化、修繕では改善の見込みがないといったマンションとしての安全性に問題があるという事実はこの段階から徐々に伝えていき、ゆっくりとマンションの現状を把握していただく事、そして建て替えへの理解を深めてもらうことに尽力していく必要があります。

法的には賛成が4/5得られないと建て替え不可能

さて、住民への説明やヒアリングを進めていけば意思表示をされる方も増えてくるでしょうから、賛成派と反対派も明確になり始めます。

区分所有法による法的なルール

ただ、マンションの建て替えは「賛成過半数により…!」と簡単に決定できるものではなく、以下のような区分所有法による法的なルールが定められています。

(建替え決議)
第六十二条
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる。
 
引用:e-Gov「建物の区分所有等に関する法律」

つまり、50世帯あるような分譲マンションであれば、42世帯からの賛成が必要という事になります。
この4/5以上の賛成が集まらないということが、前回の記事でもお話させていただいたような話し合いの長期化の原因になるケースが多いのです。

かといって、4/5という数字にだけこだわりすぎて一方的に話を進めていくというのも、委員会に対する住民からの信用度の低下に繋がることから、上記に述べたような理解を得られるような説明や話し合いが必要となるのです。

建て替えには住人の高齢化がネック?

さて、本記事では、マンションの建て替えに関するスタートとして、委員会の設置から住人への説明、一般的に認知されている法的なルールについてご説明させていただいておりますが、スタート段階で既に「ゴールが見えない…」と気の遠くなるような感覚になる方もいらっしゃるでしょう。

ただ一つ、合意の形成に向けて忘れてはならないのは、マンションの築年数が増していくのと比例するように、住人の高齢化も進んでいるという事です。

実際、四谷コーポラスの建て替えについても、高齢者からの「このままでいい」「静かに余生を過ごしたい」「見慣れた家が取り壊されるのを見たくない」など、費用や煩雑な手続きとは別の次元で反対されている方も少なからずいらっしゃったようです。

当然、高齢化に伴い、建て替え費用を出せるほどの貯えがないですとか、ローンの残債がまだある、そもそも「我関せず」の方もいらっしゃるかもしれません。

更に、住人の中には権利者による賃貸契約で暮らしているという方もいらっしゃるでしょうから、借家権が絡んできたとすると話はどんどん複雑になってきます。

こういった事情から考えても、やはり建て替えに伴う説明については丁寧、且つ理解を得られるように十分な配慮が必要となります。

普段から住人同士の繋がりを

以前、賃貸物件の老朽化による立ち退きについて書かせていただきましたが、その際にも普段から住人との繋がりを持っておくことが、いざという時の話し合いを円滑に進めていく上で重要であると結論付けました。

関連記事:立ち退き料の法的根拠を解説|賃貸オーナーを悩ませる立ち退き交渉

分譲マンションの建て替えともなれば、費用が高額になる事が多く、手続きも煩雑さを極める事になるでしょう。
そうした中でやはりスムーズな決議を行うためには、普段からの住人とのコミュニケーションの構築を行っておくことが、いずれ委員会の元となる管理組合の役目なのかもしれません。

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