瑕疵とは?種類と意味、瑕疵担保責任の解説

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不動産取引において、絶対に必要になるものに「重要事項説明」があるのは、既にご存知の方も多いかと思います。
その中で使われる用語の中に「瑕疵(かし)」という言葉があります。

瑕疵を分かりやすく申し上げると「その物件の欠点や傷」の事を指しますが、詳しく定義付けを行うとするなら、建物に対する物理的な瑕疵から目に見えない瑕疵に至るまで、様々な観点から考えていく必要があります。

業務歴の浅い不動産会社の担当者の方ですと、実は知らなかったなんて事もありがちな瑕疵について、詳しく解説させていただきたいと思います。

瑕疵(かし)の種類は4つに分類できます

まず、冒頭で申し上げましたとおり、瑕疵を定義付けようとするなら様々な視点からその物件を見てみる必要があります。
例えば、床下まで見る事ができない物件であるものの、実はシロアリによる被害があるようなら瑕疵有り物件と言うことができるでしょう。

他にも、晴れの日に建物を見ただけでは気付かないものの、実は雨が降ると雨漏りを起こすような物件であった場合も瑕疵のある物件と言うことができます。

では、過去に人の生死に関わる事件があった物件だとしたらどうでしょうか。

実はこれも瑕疵にあたります。
瑕疵というのは、冒頭でも申し上げましたが「物件の欠点、傷」の事を指します。
その物件に住まうのに影響があることはもちろん、その物件を購入するという判断に影響を及ぼすような目に見えない精神的な欠点についても瑕疵という事ができるのです。

実は、不動産取引における瑕疵には以下のような4つの種類があります。

(1)物理的瑕疵
(2)法律的瑕疵
(3)心理的瑕疵
(4)環境的瑕疵

先ほど例として挙げた、生死に関わる事件があった物件については「心理的瑕疵」のある物件に該当する事なるわけですが、上記の瑕疵の種類がどのようなものなのか見てみましょう。

瑕疵の種類を解説

(1)物理的瑕疵

物理的瑕疵とは上記までの例でも挙げさせていただいたような、その建物に対する物理的な欠陥や問題についてを指します。

建物に入る前から明らかに地盤沈下を起こしている事が分かれば、「目に見える瑕疵」と定義されますが、シロアリや雨漏りといった、パッと見では判断できないような物理的な瑕疵の事を「隠れた瑕疵」と言います。

他にも、実は土壌汚染された土地であったですとか、そもそも耐震性能が基準に達していないといった欠陥住宅、基礎が大きく破損しているなども物理的瑕疵のある物件ということになります。

(2)法律的瑕疵

これもまた、「目に見える瑕疵」になるかと思いますが、法律的瑕疵というのは、その物件に対して法的な制限があって自由に使う事が出来ないような欠点があることを指します。

例えば、以前別の記事でも解説させていただいた市街化調整区域の土地が売りに出されていたとしたら、勝手には建物が建てられないという強い制限がかけられていますので、見方によっては法律的瑕疵という事ができます。

他の例を挙げるとするなら、建物が既に建ぺい率や容積率の違反をしているですとか、将来道路が通される土地であるため建築制限があるといった事も法律的瑕疵にあたります。

関連記事:市街化調整区域とは?建築・開発許可は?ニュースに学ぶ不動産
関連記事:建ぺい率、容積率とは?計算方法をわかりやすく解説

(3)環境的瑕疵

物理的瑕疵、法律的瑕疵は目に見えて欠点であると判断できますが、環境的瑕疵は少々考え方が難しくなるかもしれません。

その名のとおり、環境が瑕疵にあたるわけですから物件そのものには問題が無いものと考えられます。

つまり、その物件を使用するにあたっては弊害となりそうな環境が周辺に存在するという場合の瑕疵にあたるわけです。
例えば、何かと物騒な事件を起こした経緯のある暴力団事務所が近くにあれば、安全な住まいとして使用するには大きな瑕疵と言えるでしょう。

ゴミ屋敷が隣にあったり、地下に貨物用の線路が通されていて騒音が酷かったり、道路整備が進まないため危険な道として知られているなども環境的瑕疵にあたります。

(4)心理的瑕疵

瑕疵の種類の中でも最も解釈の難しいのが心理的瑕疵です。

先に申し上げたような、自殺、他殺、病死、事故死などがその物件であった場合は心理的瑕疵にあたり、必ず重要事項説明で伝えなければならないとされているのは周知の事実でしょうから解説するまでもないかもしれません。

しかしながら、「心理的」というところから、どのような事を心理的な瑕疵とするかの判断が非常に難しいのですが、過去の判例では、「買主(借主)が瑕疵だとするのと同じく、一般人がその物件を瑕疵だと感じる事が重要」としています。

実は、心理的瑕疵と環境的瑕疵は隣り合ったような存在です。

仮に、近所に「カルト宗教の施設があります」という事実を瑕疵だとするなら、過去に何か事件を起こしているかどうかで判断し、「過去に事件を起こした=環境的瑕疵」「事件を起こしてはいないが不安が残る=心理的瑕疵」というように分けて考えられる事が多いようです。

瑕疵に対する責任は誰にある?

さて、瑕疵の種類が分かったところで、今度はそれらの瑕疵が判明した場合に、どのような責任を誰が負うのかと言ったところをご説明させていただきます。

尚、ここでは既に物件を所有している賃貸オーナー様の視点にて解説させていただくこととし、中古住宅の取引を前提とします。

瑕疵担保責任免責

重要事項説明書においては、その物件を取り巻く様々な事項を説明する様式となっておりますが、その中に「瑕疵担保責任」という項目があります。

瑕疵担保責任とは、「物件に欠陥があった場合(瑕疵)、それを補償する(担保)約束(責任)」の事をいい、不動産取引が行われた後に発覚した瑕疵については売主が賠償しなさいと決められているのです。

もし賠償する事が出来ない場合は契約が解除できるともされており、それらは民法上で定められたれっきとした法律上のルールなのです。

(売主の瑕疵担保責任)
第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
 
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第566条
売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
(中略)
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
 
引用:e-Gov「民法」

これらの条文から、もし目に見えない瑕疵が取引後に発覚したとしても、それを知ってから1年以内は損害倍書請求をすることができますということが読み取れますが、悪意なく取引を行った既に売却済みの物件に対して「瑕疵があったから賠償して!」なんて言われるのではないかなんて思いながら日々を過ごすのも嫌ですよね。

そこで、そういった事態を解決するための方法があるのです。

それが、「瑕疵担保責任免責」というものです。

不動産取引には、業者同士での取引から個人間での取引など様々な形態がありますが、基本的に法人が取引の相手方となった場合は、新築建売業者などは瑕疵担保責任が10年、不動産業者が相手方となる中古住宅については2年という期間が定められています。

では個人間での取引においてはどうかというと、実は期限が定められていません。

よって、重要事項説明や契約の際に瑕疵担保責任を免責とする特約を付ける事で、取引完了後に言いがかりをつけられて損害賠償請求をされるという事が無くなるのです。

考え方として、瑕疵担保の責任は基本的に売主にあるが、特約を付けての契約を行えば責任を免れる事も可能ということになります。

瑕疵って何?まとめ

アメリカでは中古住宅の需要が日本に比べて高いと言われていますが、瑕疵についてはホームインスペクション(住宅診断)を行う事が一般的であるため、日本ほど中古住宅に対する瑕疵について気にするという事もないのかもしれません。

本記事では結論として、瑕疵担保責任免責を付ける事で責任追及をされなくなると申し上げましたが、これは脱法指南をしているつもりはなく、あくまで、善意の売主としての立場を守るためのものと考えていただいた方が良いでしょう。

実際のところ、民法第572条では「知っていながら告げなかった事実」については、瑕疵担保責任免責の特約を無効とするとしています。

瑕疵について極端に気にすることはないのかもしれませんが、友好な取引を進めるためには自身の立場を守りながらも、瑕疵をしっかり把握して告げていく事でトラブルのない取引を進められると言えるでしょう。

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