不動産購入諸費用を解説「はじめての賃貸経営」
賃貸経営を始められる方、または検討されている方のためにシリーズとしてお送りしている「はじめての賃貸経営!成功オーナーへの道」ですが、いよいよ今回は、物件の購入について解説させていただきたいと思います。
物件探しが賃貸経営を始めるまでに最も時間を要するとは前回までの記事でもお話させていただきましたが、物件の購入を検討しているという事は、利回りや物件のクオリティなど、おおよそ納得できる物件が見つかったという事かもしれません。
既に賃貸経営を行われている不動産オーナー様の追加投資も、初めて物件を購入される方にも、良い物件が見つかるようにと祈るばかりですが、実際に物件を購入するに至った場合、どのような手続きと費用が必要となるのかお話させていただきたいと思います。
目次
賃貸物件購入時の初期費用を把握しよう!
前回までの3つの利回りを解説の中で、既に賃貸物件を購入する際の費用についてはご紹介させていただきましたが、今回はその費用についてもう少し詳しく解説させていただきたいと思います。
当然のことながら、不動産を購入する際には様々な税金や手続きが必要となり、スーパーでお買い物をするのとはわけが違います。
物件の購入時にかかる費用を一覧でまとめると以下のようになります。
物件購入時費用一覧
- 物件の購入代金(手付金等含む)
- 仲介手数料
- 印紙税(売買、ローン契約時)
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 司法書士報酬
- ローン事務手数料
- 保証料
- 団体信用保険料
- 火災保険料
- 管理費、修繕積立金
このように、やはりお店で物を買うのとは違い、「不動産を買う」ということになると、様々な費用と、それに対する手続きが必要となってきます。
では、一般的に認知度の高い物件の購入代金、そして仲介手数料以外の費用について見ていきましょう。
税金関連費用
登録免許税
登録免許税とは、平たく言ってしまえば「登記費用」です。
つまり、取得した物件の所有権を登記するときにかかる税金という事なのですが、「固定資産税評価額 × 税率」で求められます。
現在は軽減税率がありますので、土地については不動産価格の1.5%となっています。
支払方法は司法書士へ手続きを依頼する際に一緒に支払うケースがほとんどです。
関連記事:登録免許税とは?わかりやすく解説|不動産経営に役立つ税金のお話
不動産取得税
登録免許税が国税であれば、不動産取得税は地方税にあたります。
つまり、その物件のある地域に納める、不動産を取得した際に納税されるものです。
地方税ですので地域によって税率が大きく変わるのかというとそういった事はなく、「土地3%、家屋4%」となっています。
こちらも固定資産税を元に計算する事となりますが、物件を購入した時に支払うのではなく、不動産を取得した年の半年後くらいに納税通知書が届きますので、各金融機関での支払いとなります。
関連記事:不動産取得税とは?わかりやすく解説|不動産経営に役立つ税金のお話
固定資産税
こちらも国税ではなく市区町村が課税する地方税です。
地域によって大きな差はなく、「固定資産税評価額 × 1.4%」と考えると良いでしょう。
実は、この固定資産税については少しだけ理解を深める必要があるのですが、それはいずれ別の機会に解説させていただきます。
関連記事:固定資産税・都市計画税とは?わかりやすく解説|不動産経営に役立つ税金のお話
都市計画税
固定資産税と並んで説明されることの多い地方税です。
何故、固定資産税と一緒に説明されることが多いかというと、ほとんどの地域で年4回の支払い通知書が一緒に届くためです。
使われる目的は違う税金なのに支払い方法と納期が同じということから一緒くたにされがちですが、税率は固定資産税よりも低い「0.3%を上限」と決められています。
固定資産税・都市計画税とは?わかりやすく解説|不動産経営に役立つ税金のお話
印紙税
不動産の物件を購入する際は「売買契約書」を取り交す事となりますが、そういった高額な取引の際には必ず印紙の貼付を求められます。
切手を貼るような感覚ですので、税金を納めているという意識はないかもしれませんが、不動産売買における印紙税は以下のようになっています。
100~500万円:1,000円
500~1,000万円:5,000円
1,000~5,000万円:1万円
5,000~1億円:3万円
参考:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
関連記事:印紙税・消費税とは?わかりやすく解説|不動産経営に役立つ税金のお話
ローン関連費用
賃貸物件をアパートローンなどで購入する際は、その金融機関に支払う費用も発生します。
ローン事務手数料
事務手数料という名前が付いていますので、「3000円くらいかな?」と思いきや、実は5~10万円程度かかります。
金融機関によって違いますが、おおよその相場は10万円前後だと言われています。
保証料
ローンの融資を行う金融機関が、保証会社と連携して保全を行うために必要な費用です。
つまり、保証会社への保証金といったところですが、これは金融機関により金額がまちまちですが、金利に上乗せとなる場合もあれば、一括前払いとなるケースに分かれ、30年ローンでのおおよその相場は「1000万円あたり15~20万円」といったところです。
団体信用生命保険料
ローンを支払い中に死亡、若しくは高度障害に陥ってしまった場合に備えておく生命保険です。
不動産をローンで購入する人のほぼ全ての方が加入する事となりますので、保険料は安く、年齢が高くても保険料が変わるという事はないというメリットがあると言われています。
とはいえ、毎月支払う任意の生命保険とは違い、ローン金利に含まれている事がほとんどですので、意識的に支払っているという感覚はないものの、詳細を知りたいという方は金融機関に確認してみましょう。
関連記事:団体信用生命保険とは?賃貸物件の所有が生命保険代わりに?
印紙税
不動産の契約の際に必要になった印紙税ですが、実はローン契約の際にも必要となります。
ローンでお金を借りて物件購入をすることを「金銭消費貸借契約(略して、金消(きんしょう)」とも言いますが、この時に印紙税が必要となります。
大まかな印紙税は以下のとおりです。
500~1,000万円:1万円
1,000~5,000万円:2万円
5,000万円~1億円:6万円
尚、平成30年3月31日までは以下のように軽減されます。
500~1,000万円:5,000円
1,000~5,000万円:1万円
5,000万円~1億円:3万円
その他費用について
一般的に賃貸物件の購入に必要な費用についてご紹介させていただきました。
他にも初期費用として必要なものを見てみましょう。
火災保険料
購入される物件の規模や築年数により上下します。
管理費、修繕積立金
火災保険同様、管理会社への支払いや旧所有者への清算金となりますので、物件により費用相場は変わります。
司法書士報酬
ローンを使うか使わないかで違うケースもありますが、おおよそ5~10万円くらいが相場となります。
不動産購入費用で注意したい事
さて、ここまで見てみると、本当に色々な費用がかかるものだと驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
注意事項としては、「固定資産税」と「管理費、修繕積立金」です。
数ある不動産情報サイトを見ていると「清算金」という言葉が出てくることがあります。
主に固定資産税の清算金について説明されている事が多いのですが、そもそも固定資産税とは、「その年の1月1日における物件の所有者にかかかる税金」です。
つまり、1月2日に不動産を取得したとしたら、本来であれば来年の1月1日まで固定資産税を課税される事はありません。
とはいえ、旧所有者にしてみれば「1月2日~12月31日の分も自分が払うの!?」というように、少々不公平な取引となってしまうため、不動産業界においては慣例的に、物件の売買契約の際に「清算金」として両者の固定資産税を按分して清算する事がほとんどです。
税法上で「清算しなさい」と決められているわけではありませんので、その期間の税金を支払う義務もないのですが、だからといって支払いを拒否すれば取引に影響を及ぼすでしょうから、支払いに応じる事が望ましい形になります。
このように、物件価格や税金、ローンなど以外にも、予めの予測が不能な費用があるという事も頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。